鹿島(社長:中村満義)は、東日本大震災以来急増している、大地震後の立体自動倉庫の事業継続(BCP)ニーズに応える新しい制震構法「Attic Damper System(ADS)」を開発しました(特許出願済)。自動ラック上の屋根裏空間を利用したコンパクトな制震架構を設置することで、震度6クラスの大地震時の揺れを1/2〜2/3に低減してラックを損傷から守り、大地震後の事業継続性を大きく向上させることが可能です。
東日本大震災では、立体自動倉庫内の積荷が崩れて落下し、スタッカークレーン(自動搬送機)が運行できなくなり、倉庫機能が長期間にわたり停止する事態が多発しました。一方、積荷を脱落防止金具等でラックに固定するだけでは、積荷が落下しない代わりに、ラック本体に設計荷重以上の過大な地震力が加わり、ラックの基礎や柱などの重要部材が損傷して、復旧に要する時間と労力が多大となることが懸念されます。
こうした事態に備える技術の一つとしてTMD(建物の揺れる周期に同調させた質量型制震ダンパー)がありますが、ラック内の積荷の状態や地震の大きさによっては効果が不足してしまうため、大地震時にも安定した高い効果を発揮する応答低減技術が求められています。
立体自動倉庫のラックは、スタッカークレーンの通路を空けるために細くて高い形状をしているため、地震時には上部が大きく曲がるように変形します。鹿島はこの変形特性に着目し、ラック上部の屋根裏空間に新開発の高性能オイルダンパーと取付フレームで構成される小型軽量な制震架構を設置することで、大地震時の積荷の落下とラック本体の損傷を防ぐ制震構法「Attic Damper System(ADS)」を開発しました。
ラックの曲げ変形を利用してオイルダンパーが効率的に地震エネルギーを吸収するため、積荷の状態に関係なく常に安定した効果を発揮し、震度6クラスの大地震まで対応できます。また、屋根裏空間を利用するため積荷の収容量に影響がなく、新築、既存を問わず適用が可能です。なお、当社では必要に応じてパレットの脱落防止金具や積荷のバンディングの組合せも提案いたします。
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本架構は既に2件の既存自動倉庫に適用が決まっています。大地震時にも事業継続性の高い制震自動倉庫として、既存倉庫への適用性検討に関するコンサル対応に加え、新築案件にも積極的な提案を行ってまいります。
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