[2016/06/21]

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　鹿島（社長：押味至一）は、シートを貼った型枠にコンクリートを打設し、脱型後はコンクリート側にシートを残すことで長期養生を実現し、コンクリート表層品質を向上させる「美シール工法」を、積水成型工業株式会社（大阪市北区、社長：矢野英伸）、東京大学石田哲也教授と共同で2014年に開発しました。この美シール工法を、国道45号長部高架橋工事（岩手県陸前高田市）において橋脚など1,712m²に初めて大規模適用しました。
　なお、本工法は平成27年度土木学会賞技術開発賞を受賞しました。

長部高架橋

　長部高架橋は、復興道路として位置づけられる三陸沿岸道路の一部で、延長408mのPC6径間連続ラーメン箱桁橋です。迅速な復興を支援するための早期供用開始と当該地域の重要社会基盤として長期間にわたり供用できることが望まれています。
　鹿島は、本工事の一部に美シール工法を適用し、コンクリート構造物の品質向上と長寿命化に取り組むこととしました。

美シール工法

　コンクリート構造物を長寿命化するためには、表層部の品質を向上させることが重要です。表層部が緻密であれば塩分などの劣化因子が表面から浸透しにくくなり、内部鉄筋の腐食を防ぐことができます。美シール工法は、あらかじめ内側に高撥水性シートを貼りつけた型枠を建て込み、そこにコンクリートを打設します。脱型後はシートがコンクリート側に残置され、コンクリートの表面を一度も乾燥させることなく、長期間にわたって湿潤状態を保ち、表面を緻密化する養生技術です。

長部高架橋工事での適用

　長部高架橋の1.橋脚フーチング（P5）、2.橋脚（P2）、さらに3.橋梁上部工（P3）に美シール工法を適用しました。1.橋脚フーチングでは133m²に適用し、美シール工法で94日間養生した面と従来工法を用いた面を対象に透気試験（空気の通り易さを指標とした試験）を実施し、比較しました。その結果、美シール工法で施工した面は透気係数ランクが「良」となり、より緻密であることを確認しました。

　2.橋脚では美シール工法を475m²に適用し、最長で282日間のシート養生を行いました。また3.橋梁上部工では、上空の移動足場内の施工環境にて、形状が複雑な箇所全9ブロック、1,104m²に適用しました。シートをはがした後のコンクリートの表面には光沢が生まれ、コンクリート表層部が緻密化し、コンクリート構造物の耐久性が向上していることを確認しました。

今後の展開

　本工事において、美シール工法を初めて実構造物に大規模適用し、コンクリート表層品質の向上効果を定量的に把握、確認することができました。今後は、橋梁やボックスカルバート、トンネルなど各種構造物に、この美シール工法を水平展開していく方針です。

工事概要

プレスリリースに記載された内容（価格、仕様、サービス内容等）は、発表日現在のものです。
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