「GREEN×EXPO 2027のシンボル」をデザインする
大阪・関西万博の大屋根リングの木材をリユースしてつくる、「高さ約60mの木造タワー」。その設計は、どんな人材がどのように進めたのか。デザインと構造、それぞれの視点から設計に携わった3人の担当者が語ります。
見た人の記憶に強く残るデザインに
小林春香アシスタントチーフ/意匠設計担当
「どんなタワーをつくろう…」という構想段階から何度も線を引き、図面を描き直しました。2年もかかって大変でしたけれど、「誰も見たことのない建物を」という意気込みで、何とか成し遂げることができました。
タワーの足元は、大樹の根のように足を踏ん張り、大地のエネルギーを吸い上げてタワーの上昇感が際立つようなデザインとしました。VRなど仮想の世界を見せる技術も進化していますが、建設業の出展としてリアルなモノで表現することにこだわりました。見てくれた人の記憶に強く残るようなタワーになればうれしいですね。
森林資源、万博、未来…タワーを通じて考えるきっかけに
原嶋宏樹チーフ/意匠設計担当
木材は、豊かな自然と森が生み出す資源。そこに人が培ってきた技術を掛け合わせ、持続可能な未来社会のあり方を体現する、それが今回の「KAJIMA TREE」のコンセプトです。大屋根リングに使われていた木材は、最初の施工から約2年間屋外の環境にさらされて、特に外側を向いていた部分がグレーに変色しています。一見すると劣化しているようですが実はそんなことはなく、表面を少し削るだけできれいな木の肌が出てきて生命力の強さを感じます。
また、部材によってはパビリオンのサインなどがつけられたままになっていて、大阪・関西万博の記憶が随所に残っています。完成したタワーを見るとき、木材に宿る森の記憶や万博の記憶、そして施工関係者の想いに触れていただきたいですね。物を大切にする、人の想いをつなぐ、いろんなことに考えを巡らせるきっかけになってくれればと思います。
前例のないタワーを、新技術で実現する
高谷真次グループリーダー/構造設計担当
これほど大規模な建築で木材をリユースするというのは前例がないことなので、構造強度の評価など、新たな取組みが必要でした。当社の研究部門と連携して、柱と梁の接合部分が十分な強度を発揮できるよう確認しながら構造設計を進めました。
地震に対する安全性を確保するために、鹿島の木造制震技術「組木制震システム」を採用しています。日本の伝統建築に着想を得て新たに開発したもので、将来的には超高層ビルにも展開できると考えています。
リユース木材と最新の制震技術を組み合わせて設計された「KAJIMA TREE」。その大地から空へと緩やかな弧を描くデザインは、来場者に驚きと感動をもたらすだけでなく、人と自然が調和する「新たな未来像」を示してくれるだろう。
鹿島建設は、GREEN×EXPO 2027の
Village出展パートナーです。