水曜会:社内講演会の記録
第94回 2019年6月26日(水)
山梨 知彦日建設計CDO常務執行役員
no title
「私はサラリーマン・アーキテクトなので」-。
そう謙った山梨氏は建築と「ものづくり」は対等で、アノニマスな建築に惹かれると語る。建築家を特権的な立場と見做さない真摯さが見え隠れする。
イメージを落とし込み、都度現れる「気付き」をチームで共有し、新しい発想へとドライブしていくプロセスは軽やかで、そのスピードと強度はコンピューテーショナルな手法と一体だと感じられた。「複雑なものを複雑なまま」という想いが根底にあるのだという。新しい技術・手法からは、新しいイメージが励起される、つまり「手が考える」感覚を持つことができるが、新奇なデザインを目的とせず、より良い社会をつくるという使命を忘れてはならないと述べ、 Mass-Customization(多種生産)の技術が建築を大きく変えるはずだと締めくくった。
氏のプロセスは泥臭く、差し迫るリアリティを持ち、マニュアルな感覚すら覚えたが、それを「BIMの話ではない」と言うなかれ。結局、コンピュータも私たちの指の延長なのだ。氏は徹頭徹尾、こう述べていたのではないか?
〈今こそDigitの原義に立ち返えろう〉と。
山梨 知彦
- 1960年
- 神奈川県横浜市 生まれ
- 1986年
- 東京大学修士課程卒業
- 1986年
- 日建設計入社
- 2009年
- 「木材会館」
日本建築家協会賞受賞 - 2014年
- 「NBF 大崎ビル」
日本建築学会賞受賞 - 2017年
- 「桐朋学園大学
調布キャンパス」BCS 賞 - 2019年
- 「桐朋学園大学
調布キャンパス」
日本建築学会賞