水曜会:社内講演会の記録
第93回 2019年6月26日(水)
坂本 一成アトリエ・アンド・アイ
クリティカル・フォルマリズムの可能性
─ ありそうでない空間のために ─
─ ありそうでない空間のために ─
住宅作品を多く手掛けてこられた、建築家・坂本一成先生による講演会。
学生時代の篠原一男氏との関係や、これまでの作品について、その「条件」と、統合する「テーマ」を振り返りながら、時系列順にご紹介していただいた。
建築における重要なことは「社会性」と「地域性」とし、移り変わる時代に寄り添いながら柔軟に使い手のニーズに耳を傾ける姿勢と、設計は空間の「構成」と「分節」で成立させる、自身はフォルマリストだ、と形式的に場を捉える姿勢は、最初は二面性があるように感じたが、話が進むにつれ、その一歩引いた場所から相対的に考える「バランス」感覚こそ、詩的で居心地の良い「ありそうでない空間」を作り出すポイントのように思えた。
最近の建築は「地域性」「詩的さ」の部分でいきすぎて、「施設化」しているという指摘は、まさにそのバランスについての警鐘であると感じた。自分のこれからの仕事に改めて意識していきたい。
坂本 一成
- 1943年
- 東京都生まれ
- 1966年
- 東京工業大学工学部
建築学科卒業 - 1971年
- 東京工業大学大学院
博士課程を経て
武蔵野美術大学
建築学科専任講師 - 1977年
- 同大学助教授
- 1983年
- 東京工業大学助教授
- 1991年
- 同大学教授
- 2009年
- 東京工業大学名誉教授
- 現在
- アトリエ・アンド・アイ
代表 - 1990年
- 「House F」で
日本建築学会賞作品賞 - 1992年
- 「コモンシティ星田」で
村野藤吾賞