ここから本文です
Top > Inhouse Studies > 水曜会 > 第99回
水曜会:社内講演会の記録

992024年10月9日(水)

重松 象平OMA ニューヨーク事務所代表

“Function Versus Freedom (Architecture Versus City)”

OMAパートナー・OMAニューヨーク事務所代表として世界で活躍する建築家 重松象平氏をお招きし、第99回水曜会が開催された。

講演の前半、高級ブランドの展示空間から地方のコミュニティセンター、コンドミニアムや個人住宅作品にいたるまで、氏が手がけた数多くのプロジェクトが紹介された。建築は「衣・食・住」全てに密接に関わるという氏の思いが強く感じられた。

後半は、コロナ禍以降、特に意識しているという「集」まることにフォーカスが当てられ、本講演のタイトルにもある「建築と都市」について語られた。

The City is Becomig Like Architecture.
技術の発展に伴いデジタルツインによる都市が現れるなど、建築のアンチテーゼだったはずの都市は、建築以上に制御され始めている。しかし建築にこそ余白や都市的な空間が必要であると氏は語る。

Mixed-Used will be the new generic.
都市に複合商業施設が多く集まり、今後も建設され続けるだろう。我々はこの状況に真剣に向き合わなければならない。

都市は異なるエリアの集合であり、食卓に例えると“アラカルト”であるはずだ。だが都市には外見は少し違えど、中は全く同じようにパッケージ化された建築が溢れている。そんな建築を氏は“弁当箱”と表現した。

街中、世界中に“弁当箱”が立ち並ぶコラージュ画像は衝撃的だった。これはディベロッパー批判ではなく、建築家を鼓舞する氏のメッセージだ。

建築家のプログラムへの参画なくして、面白く新しい建築はできない。建築家への警鐘である。

自身のプロジェクトの中で、常に視野を広く持ち、アートや環境など様々な観点と建築を融合しようとする姿勢に説得力があった。

我々設計者は、建築を設計するだけではいけない。
建築は都市のように、都市は建築のように。
視野を広げて明日からの仕事に取り組もう。背筋が伸びる思いだった。

(柴田 貴美子│KAJIMA DESIGN)

写真:重松 象平
重松 象平
1973年
福岡県久留米市生まれ
1996年
九州大学工学部建築学科卒業
1998年
OMA 所属
2006年
OMA
ニューヨーク事務所代表
2008年
OMA パートナー

コーネル大学建築芸術計画学部大学院、コロンビア大学大学院、ハーヴァード大学デザイン学部大学院などで客員教授を歴任。
2021年~九州大学人間環境学研究院教授及びBeCAT(Built Environment Center with Art & Technology)ディレクター。2023 毎日デザイン賞受賞。

Inhouse
Studies