水曜会:社内講演会の記録
第98回 2024年1月17日(水)
面出 薫Lighting Planners Associates代表
健全な論争が起こる景色
Healthy argument in collaboration among Client, Architect and Lighting Designer
Healthy argument in collaboration among Client, Architect and Lighting Designer
光のデザインは体感的で経験的なところが多い。
イメージの共有が難しい中、クライアントや建築家との協働は避けられない。
成果を残したプロジェクトには、誰と・どのような対話があったのか。
本講演では協働のあり方にフォーカスを当て、氏の経験を語って頂いた。
講演中、スクリーンに映し出されたのはプロジェクト進行当時の写真。
建築意匠設計者・構造設計者・クライアントなど、プロジェクト関係者が模型やスケッチを囲み、議論をしているシーンだ。登場人物に吹き出しがつき、当時の発言が書かれている。各々が真摯にプロジェクトに向き合っていたからこそ、意見が対峙する。他者の意見に触発されて次々と新しいアイデアが生まれていく様子を、氏は鮮烈に語った。
生みの苦しみを根気強く共有する時間。アーキテクトが対峙すればするほど、見えなかった要望が引き出され、曖昧だったビジョンがはっきりと輪郭を現わし、コンセプトが共有されていく。この場面なしでは生まれなかったアイデアもあるだろう。
プロジェクトの成功には、そんな「健全な論争」があったと氏は語る。
活発で、生き生きとしていて、濃密でスピード感がある情景が、眩しく目に浮かんだ。
我々もいま、1人の設計者/デザイナーとして
「健全な論争」が起こるシーンをつくれているだろうか。
襟を正す想いで聞いた講演だった。

⾯出 薫
- 1950年
- 東京都生まれ
- 東京藝術大学大学院修士課程修了
- 1990年
- Lighting Planners Associates設立
- 武蔵野美術大学客員教授
- 東京藝術大学、東京大学などの非常勤講師
- 照明文化研究会「照明探偵団」団長
- 北米照明学会国際照明デザイン賞・優秀大賞
- 国際照明デザイナー協会賞・最優秀賞
- 日本照明学会日本照明賞
- 日本文化デザイン賞
- 毎日デザイン賞
- シンガポール大統領デザインアワード