特集:これからの建築生産システム

Chapter1 建築生産の新しいビジネスモデル

 建築生産の上流にある設計。その下流にある施工。この二つの部門は,建築物をつくるという目的は同じであっても,役割は明確に分かれている。このことは,建物をつくる上で必要不可欠な「図面」の作成に顕著に現れる。
 設計や施工部門では,早くからコンピュータによるCADを用いた図面の作成が普及していた。これをもとにつくられた設計図には,施工のための情報が不足していたり,細部が確定していない場合もあった。施工とのデータの連携も少なく,現場や外注事務所などで施工図を新たに書き直す必要があった。しかも,鉄骨やコンクリートなどの数量は,設計図をもとに積算事務所などで算出しなければならなかった。
 こうしたことから,現場では施工図の作成とともに設計内容を確定するという作業が 発生した。その検討に貴重な時間を費やし,手戻りや手直しがあった場合は,工期の遅延やコスト増を招いた。情報が確定されないまま次工程に入っていくという状況が,施工部門での効率化,合理化を阻害する大きな要因となっていた。
 当社では,昨年4月にプロダクションセンター(Pd.C)を設立し,「建築生産情報統合システム」(KSJTシステム)による新しい生産システムを構築した。その運営を行うプロダクションセンターでは,設計段階から施工サイドの情報を早期に設計図に取り込み,整合性のとれた確定度の高い設計図を元に積算数量,施工図を作成する。従来の建築生産の流れを根本から変えるこのシステムは,建築生産における新しいビジネスモデルと言えよう。


新しい建築生産の流れ

従来の建築生産の流れ
KSJTSYSTEMによる効果




|Chapter1 建築生産の新しいビジネスモデル
|Chapter2 建築生産情報統合システムのしくみ
|Chapter3 適用事例にみる担当者の声
|Chapter4 次世代の建築生産を担うプロダクションセンターのこれから