東京湾の千葉県側には、東京電力の5つの火力発電所があるが、このうち、五井火力発電所と千葉火力発電所の間の海底に、ガス導管を新設するトンネル工事がシールド工法で進められている。
工事は、千葉火力発電所の発進立坑から約0.32%の上り勾配を、一方向からだけ掘進する片押し掘進である。長さ2,769m。世界でも有数の長距離シールド工事となる。一日の平均掘進距離は16リング、19.2mと超高速の上、二次覆工を省略したセグメントのみのトンネルであるため、漏水、欠け、クラックなどの少ない、高品質が求められた。
長距離片押し、高水圧下、高速施工に対応するため、セグメント、ジャッキスピード、エレクター、セグメント自動搬送システムなどの能力を増強し、作業の合理化・省力化、時間の短縮化を実現。特に高速掘進を行うために重要なのが、セグメントの搬送と、泥水の処理時間である。6分割された幅1.2m、厚さ295mmのセグメントを掘進1サイクルにかかるわずか35分の間に地上から切羽まで搬入して搬送しなければならない。そのためセグメント自動搬入・搬送システムを導入し、セグメントを地上保管設備の所定の位置にセットするだけで、地上から切羽まで自動搬入・搬送ができるようにした。
また、泥水処理設備では、処理量の増大に対応するため、調整槽(150立方m)を1リングごとに切替えることによって、常に調整された泥水を安定供給する自動良液供給システムを開発。これらの施工管理は、中央管理室で集中管理するシールド総合施工管理システム(KSGS)によって行われた。1日平均20m近い高速掘進を続けるシールド機は、1994年2月に最大月進量540mを記録し、1,769mの距離を165日間掘り進んだ後、無事到達した。
●工事名:姉崎火力〜千葉火力間ガス導管新設工事
●場 所:千葉市中央区蘇我町2丁目
●発注者:東京電力
●設 計:東電設計
●規 模:泥水加圧式シールド 掘削外径4.08m
セグメント外径3.95m 施工延長2,769m
●工 期:1993年7月〜1996年6月
(東京支店JV施工)
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