3連シールド機は、円形のシールド掘進機を横に3機重ねた構造になっている。高さ7.8m、横幅17.3m、3面がそれぞれ別に回転するカッターで、上り線、下り線の2本の軌道とその間に挟まれた形の駅のホームを一挙に掘削する。1m掘り進むごとに10個の円形セグメント(重さ2.3t)と、この工法のために新たに設計された4個の接円部かもめ型セグメント(重さ3t)を3台の組立てロボット(エレクター)が連携し
て順次取り付ける。シールド機の掘進と同時にマシーンの外面に取り付けた注入管から裏込め注入を行う。裏込は1m進むごとにシールド機とセグメントのすき間15cm、7立方mずつを埋めるもので、特にくずれやすい接円部を中心に複数同時注入方式で充填材を注入する。施工中は1セグメント(幅1m)ごとにH鋼の仮柱、4mごとに本柱(重さ9t)を挿入して荷重を受ける。エレクターで柱の位置決めを行い、かもめ型セグメントにある上下各4個の穴(直径3cm)と柱の穴を合わせてボルトで締める。柱とセグメントのすき間はわずか数ミリ。この位置を合わせるため、柱の設置に1時間もかかる場合もある。そして、掘進完了後、本柱の上下に張り出した支圧版とセグメントの間に梁を通し、全ての荷重を本柱で受けた後、仮柱の撤去を行う。
シールド機のカッターは、それぞれ所定方向の回転で掘削を行い、機械のズレをリアルタイムに軌道修正しながら掘削しなければならない。そのため通常のシールド工事のほぼ3倍の量になる入出力データを同時に処理するシールド総合施工管理システム(KSGS)を開発。複雑な掘進管理、セグメント組立監視、切羽の崩壊検知、送排泥設備、泥水輸送設備などを効率的に管理する。
また、専門技術者をはじめ近隣の住民、学生、児童などたくさんの見学者に対応するため、新しく開発したマルチメディアプレゼンテーションシステムも活躍している。大型のプロジェクタにCG画面や図面、写真、KSGSの画面を写し出すことができる。来訪者の興味の対象や専門知識のレベルに合わせた的確な説明を行うことができ、工事始まって以来延べ1,300人にも及ぶ見学者に好評を博している。
1月12日に南側立坑から発進した3連シールドは、1日2m強のペースで掘削を続け、4月下旬には北側立坑に到着、10月には土木工事が完了して、駅部の建築工事に入る予定である。3連シールド工法の採用によって、従来工法に比べて安全性、信頼性が高く、工期も4カ月短縮することができた。
心斎橋・京橋間は、来年末の開業を目指している。
●工事名:高速電気軌道第7号線 大阪ビジネスパーク停留場工事
●場 所:大阪市中央区城見1丁目
●発注者:大阪市交通局
●設 計:大阪市交通局
●規 模:停留場延長155m シールドトンネル延長107m
発進立坑24.0m×22.0m×深さ38.1m
到達立坑24.0m×23.0m×深さ38.0m
泥水加圧式シールド シールド機外径7.8m×17.3m
●工 期:1994年9月〜1995年12月
(関西支店JV施工)
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