ここまで建物の設計に取り組んできた設計者は、どんな人たちなのでしょうか。
それぞれの仕事のおもしろさや、設計者を目指したきっかけなどを聞きました。
いつでもどこでも建物を見るのが大好き!新しい建物ができると見に行ったり、旅行先でも気になる建物があるとつい時間を忘れて見入ってしまったり。自分が設計した建物も気になって、インターネットのストリートビューでチェックしたりすることもあります。
建築設計は、建物に関するすべてに目を通すプロデューサー的な存在です。お客さまや設計チーム、現場など、すべての人に信頼され、まかせてもらえる人間力がないと、次々と降ってくる問題をさばききれないでしょう。でも、ひとつひとつ問題をクリアしていくのも、この仕事のおもしろいところです。
また、設計者というとクリエイティブなイメージですが、実際にデザイン作業にかける時間はすごく短くて、お客さまの要望を聞いたり、調べたり、交渉したりすることのほうが多い、実はとても地道な作業です。
でも、同じ建物は一つもなく、毎回イチから作るので、毎回新鮮な気持ちで取り組めるのが楽しいです。完成まで常に「よりよく」を求め、お客さまに建物を好きになってもらうことを目指して設計しています!
設備設計は、「想定外を想定する」という、ものづくりの中ではちょっと変わった仕事です。もし気温がこんなに上がったら、これだけ雨が降ったらなどと想像しながら、建物を使う人をおもてなしする気持ちで設計しています。
建物そのものをつくるというよりも、建物をつくることによってできた「空間の質」をよくする仕事なので、学校で勉強したことだけでなく、実際に経験を積むことがとても大事です。「目には見えないけれどとても重要なものをになう」というのも大きな醍醐味です。仕事以外でも、つい天井の点検口が気になって見てしまうことも。
鹿島では、設備設計の中で、照明が得意な人、給排水が得意な人など、それぞれの技術を専門とするチームに分かれています。また、水や温水を作り出して空調をコントロールするようなエネルギー関連の設計や、省エネに関する新技術の研究開発、エンジニアの視点でお客さまからの相談に応じるコンサルティング業務なども行っています。一つの専門分野のエキスパートになっていくところが、この仕事のおもしろさですね。
構造設計は建物の外からは見えない柱や梁などを設計する、文字通り「縁の下の力持ち」です。しかし、最近では、曲面を多く使用したり柱を少なくしたりするような複雑なデザインが求められることが増えたため、「構造デザイン」という分野で構造設計が注目されるようになってきました。とはいえ、建物が完成したら構造体が隠れてしまうので、自分が設計した構造体を見るために建設中の工事現場に出没することも。
構造設計者は、常に「もしこんな災害が起きたら」などと不測の事態のことを考えている、「究極の予測屋」です。地震が起きたときに建物がどう揺れるかなどをよく知っているからこそ、地震には人一倍敏感かもしれません。逆に、日本の60m以上の超高層ビルはとても地震に強い設計だということもよく知っているので、人一倍安心している面もあります。
構造体は外からは見えませんが、「見えないからこそ大事なものを作っているんだ!」と誇りに思っています。また、安全な構造体をつくるための答えは一つではないので、自分の発想を生かして新しい提案をすれば、建物という結果となって返ってくるのもおもしろいですね。