(1)騒音・振動防止技術
一般に音響を重視する空間は先ず第一に静寂性が要求される。このため,建物の外部や,内部で発生した騒音・振動が侵入してくるのを制御するための遮音設計や,固体音と呼ばれる,振動が建物体を伝播して室内に再放射される騒音を防止するための防振設計など,静寂性を確保するための技術である。
(2)音響障害防止技術
ロングパス・エコー(やまびこ現象)やフラッター・エコー(鳴き龍現象)など,音響的な障害となる要因を発見して対策を施す技術である。主に形の設計である。
(3)響きの量の設計技術
空間にはそれぞれの使用目的と大きさに見合った最適な響きがある。これに近づけるための最適な材料を選択したり,配置を検討する技術である。
(4)響きの質の設計技術
空間の用途によっては響きの量だけでなく,響きの質(周波数特性)も重要になってくる。空間の目的に合った音の質を実現するための技術である。
●音響CADシステム
空間の形状をコンピュータの中に再現して基本的な室形状の検討や,音の伝播経路を視覚的に確認することができるツール。
●音響模型実験システム
1/10,1/5などの縮尺音響模型を用いて,音の波動性も考慮した高度な音響検討を可能にするツール。
●音響可聴化システム
音響CADシステムで得られた計算結果や音響模型実験で得られた測定結果を基に空間の響きを可聴化する。この可聴化システムを使って,大空間でのアナウンスの明瞭性や,コンサートホールでの音質の良否を実際に耳で聴いて確認することができる。
これら,設計支援ツールはそれぞれに適応できる範囲が限られているが,それらをお互いに組み合わせることによって音響設計を強力にバックアップしている。
このようなサウンドテクノロジーが実際にどのように活用されているか,「コンサート・ホール」,「大空間施設」,「テレビスタジオ」を例として見てみよう。
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