特集:まちを元気にする「みんなの学校」![]() |
Chapter3 元気な学校の行動力 |
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積極的に動き出した学校。 たとえば都心駅前に進出するサテライト大学院は,IT社会,産学連携,社会人教育,そして都市再生といった今日の情勢を体現している。 ここでは,教育の変化とともに,活発な動きをみせる学校や教育施設の諸相をみてみよう。 そして,こうした動きを実現するには,建築計画・建設技術といったハード面だけでなく,学校をマネジメントするソフト面が重要になる。 ゼネコンの多様な技術とノウハウを活かした鹿島のサービスメニューを併せて紹介したい。 |
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まちを出迎えるキャンパス この春,中央大学多摩キャンパスに新しい“道”が開通した。〈グリーンテラス〉と〈白門プロムナード〉と名づけられたこの施設は,多摩モノレール駅とキャンパスを結ぶ動線となり,テラスの下部には,地域社会に開かれた公開講座のための教室や郵便局などが組み込まれている。駅からのアクセスが飛躍的に向上するだけでなく,大学と地域社会との活発な交流が企図されており,いわば,大学が学生を駅まで出迎え,地域社会を出迎えているのである。 さらに中央大学は,多摩丘陵自然公園のなかの広大なキャンパスを拠点としたうえで,2000年4月,都心部に市ヶ谷キャンパスを開設した。社会人大学院,産学連携,国家試験団体および専門大学院といった時代の流れを先取りするかたちのサテライト大学院として,都市再生と歩調を合わせた大学の都心回帰として,大きな注目を集めている。 |
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拡張する学校 中央大学のように都心に新たなキャンパスを開設する動きは,地方の国立大学にもみられる。“駅前進出型”のサテライトキャンパスである。こうしたキャンパスの実現には,「高度なITプログラム」と「学校経営の事業プログラム」の存在が不可欠だ。 教育現場のITは,もはや「導入」から「活用」へと移行している。たとえば,大阪学院大学では,インターネット上で講義に関する資料を一元的に管理する教育システムを3年前に導入し,すでに大きな効果をあげている。 そして,学校経営という点では,本業収益の多角化を建物そのものに反映したキャンパスも登場している。オフィスや住宅などのテナントと教室を一体化した“合築キャンパス”だ。すでに紹介した<秋葉原ITセンター(仮称)>もその一例といえよう。 |
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「資産情報」のマネジメント 建造物を維持し,有効活用する当社のライフサイクルマネジメントへの取組みは,情報機器にも広がっている。「IT資産管理スタイルアップサービス」は,IT資産の企画・計画・調達から運用・サポート,そして廃棄までのライフサイクルを通じて,トータルなサービスを行うプログラムだ。 変化の早い情報機器への投資対効果を最大化し,人や物の動きと実際の運用とを関連づけてシステム化する独自のノウハウを有している。 また,情報機器だけでなく,OA機器や家具,設備機器,敷地管理といった情報を,一元的に管理・活用する「CAFM」(施設管理支援システム)も用意している。 こうした資産の投資を学校経営全体で考えることが重要であり,当社では,長期的な「学校経営シミュレーション」のサービスも提供している。実際の施設の更新にあたっては,仮校舎へ移転せずに耐震補強などが可能な「居ながら工法」とともに,ニーズに応じて工事中の「仮校舎情報」も提供している。 学校のマネジメントには,IT化という点での情報にくわえて,「資産情報」を適切に把握・管理し,運用していくことが重要になると当社は考えているのである。 |
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民営化する公共サービス![]() 新たな施設の建設にあたっては,大学以外の国有施設と同様に,PFIなどの民間活力を利用した手法が有力視される。当社は,海外を含めたPFIの実績,学校・教育施設づくりの豊富な経験を活かし,こうした動向にも積極的に対応している。 その成果のひとつ,三重県の〈桑名市図書館等複合公共施設〉は,民活による地域活性化を図った教育施設である。ここでは,図書館を中心に,保健センター,勤労青少年ホーム,多目的ホールなどで構成される複合施設について,計画から設計・建設・運営管理にわたる総合的な受託事業を行っている。 |
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まちを刺激する学びの場 全国の自治体が「中心市街地の再生」と「環境配慮型のサスティナブルな社会」を課題とするなかで,桑名市では「歩いて暮らせるまちづくり」を推進している。拡張型の市街地開発ではなく,現状の中心部を再整備することで,住まいやオフィス,商店街,公共サービスといった生活機能が歩行圏内にある「コンパクトシティ」をめざす。 今回の複合施設は,更新時期に差し掛かった個々の施設を集約して市街地に整備するものであり,「心と体の健康を支える文化と交流の拠点」と位置づけられている。民活の導入によって図書館は午後9時まで利用できるようになり,最先端のITによって地域の情報発信の拠点となる。 学びの場は,学校やキャンパスといった「施設」の枠組みを超え,人や情報の「知の交流の場」となることで,まちのアクティビティを刺激する存在になるのである。 |
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学校づくりのコミュニケーション![]() こうした意識の高まりのなかで,当社は「セーフティキャンパスの創造」と題した学校経営セミナーを昨年5月に開催した。天笠茂氏(千葉大学教育学部教授),勝方信一氏(読売新聞論説委員),及川良夫氏(綜合警備保障公務営業部課長),小島宏氏(台東区立根岸小学校校長)といった各界有識者を迎え,当社関係者とともに,講演や議論が長時間にわたって展開された(役職等はセミナー開催時)。 激変する教育現場をサポートするために,当社はセミナーや研究会,関連イベントを積極的に開催し,また参加するなど,最先端の情報をつねに交換している。そのなかで育まれたネットワークが実際の学校づくりに活かされた事例も少なくない。 そして,蓄積されたノウハウと実績は,当社ホームページの専用サイト「鹿島の学園づくり」で広く公開している。学園づくりのコンセプト,各種学校の事例写真集のほか,相談コーナーでは具体的な相談事例で数十項目をそろえ,実例をまじえた回答を用意している。 社内各部署・全国支店の専門スタッフの組織的な活動や,社内外の関連イベント,ホームページを通じた活発なコミュニケーションが,元気な学校を育むことにつながるのである。 |
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![]() |Chapter1 学校の顔となるコミュニケーションスペース |Chapter2 まちを彩る学校のかたち |Chapter3 元気な学校の行動力 |