特集:新エネルギー最前線

太陽光発電 太陽光発電をソフト技術とハード技術で実現
太陽光発電は,大気汚染物質・騒音振動・廃棄物を排出しないクリーンで再生可能なエネルギーとして,導入普及が促進されている。多様な設置形態が可能なため,建設分野でも土木・建築を問わず広く適用が進んでいる。当社は,ソフト・ハード技術を併せた総合エンジニアリングを確立し,建築・都市(デザイン,機能)と調和した太陽光発電システムを提供している。

日照・建物条件に合った最適システムを提案
 政府は1999年度20.5万kWだった太陽光発電量を2010年度末までに,23倍の482万kWにまでに高める目標を掲げている。太陽電池生産技術では世界をリードする日本だが,建材との一体型など利用方法も含め,ユーザーニーズにいかに柔軟に対応するかが,今後の普及の鍵を握っている。
 太陽光発電を建築物に組み込む場合,設置場所,日照条件,設置角度によって発電量に差が出る。このため,発電量を確保するには計画段階で年間発電特性を正しく把握することが重要である。当社では,太陽光発電システム設計を支援するため,様々な日射条件,建物条件などを入力することで,年間の発電特性を評価するシステムを開発した。本ツールは,CADとのリンクにより多様な建築計画に対応し,太陽光発電の年間発電性能をビジュアルに評価し,システムの最適設計を行うことができる。これにより,太陽光発電の導入検討が容易になるとともに,建物デザインやシステム設計の支援を行うことができる。
 現在進められているサンヨーメガソーラープロジェクトの計画・設計に,この発電性能評価ツールが威力を発揮した。

日影評価シミュレーション例
日影評価シミュレーション例
 
発電性能評価表示例
発電性能評価表示例

サンヨーメガソーラープロジェクト
未来へ飛翔する希望の箱船をイメージした全長315m,高さ37mのソーラーアークの完成予想

世界最大級の太陽光発電システムを建設
サンヨーメガソーラープロジェクト
 当プロジェクトは,三洋電機グループがクリーンエネルギー社会の実現へ向け,その象徴として,単体としては世界最大級の太陽光発電システム「ソーラーアーク」を同社岐阜事業所内に建設するもので,その発電規模は0.7MWとされる。空中に浮く巨大な宇宙船のようなアークの中央には,ラボと称される太陽光発電に関する展示空間が併設され,その足元には全長80mに及ぶ滝や庭園が現出する。まさに環境共生を志向する,21世紀における企業姿勢を具現化した計画となっている。当社は構造物の地震動解析,発電性能把握をはじめ設計段階から参画している。

施工中のソーラーアーク 2002年1月完成予定
施工中のソーラーアーク 2002年1月完成予定
地図

デザイン性と機能を兼ね備えた建材一体型モジュール
 当社は1993年からニューサンシャイン計画(※)の一環として,建築・都市と調和した建材一体型太陽電池モジュールの開発を行ってきた。発電性能評価ツールなどのソフト技術と併せて,総合的なエンジニアリングが提供できる。
 建材一体型モジュールは,建材との一体化により専用の設置架台が不要のため,設置コストを低く抑えることができる。しかし,長期の発電性能評価や建材としての防耐火性・耐久性などの確保が,実用化のための課題であった。当社はこれらの技術的課題を克服し,多様な部位に対応できる建材一体型モジュールの設計手法・施工方法を確立した。また,この建材一体型モジュールは,新築の建物だけではなく,既存建物のリニューアルにも適用可能である。

※ニューサンシャイン計画:経済産業省が推進しているエネルギーや地球環境分野の産業技術を開発する国家プロジェクト

トップライト型 地上設置型
ALC板外壁一体型
ALC板外壁一体型: ローコストのALC板と一体化。 地震時の層間変位にも耐えられる
トップライト型:採光型モジュール使用。複層ガラス(中空構造)方式で,大面積にも対応可能 地上設置型:建物の屋上や建物周りのデッキ部などのオープンスペースに使用  

トラス一体型
トラス一体型:採光型モジュール使用
カラー太陽電池セル

代表的な適用事例
NTTドコモ代々木ビル
NTTドコモ代々木ビル
 超高層ビルの南面メタルカーテンウォールとガラス基板の太陽電池モジュールを一体化したもので,発電規模は15.2kW。200mを超える超高層ビルへの設置は国内初

富士ゼロックス海老名事業所
富士ゼロックス海老名事業所
 既存工場の屋上に屋根一体型太陽電池モジュールを約1,000m2設置したもので,発電規模は110kW。平成11年度の新エネルギー財団会長賞受賞を受賞

太陽光発電の原理




生ごみ発電
風力発電
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