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鉄筋コンクリート造を4日で1フロアつくる
三菱重工横浜ポートサイド社宅新築工事で実現
部材のPCa化と型枠のシステム化、敷地を有効に利用した梁筋の現場製作によって、普通1フロア6日以上かかる躯体工事を1フロア4日で行い、短工期施工を実現した現場が現れた。
- 鉄骨建方と同じ発想を
1フロア4日という超短工期施工を実現するポイントは、使用する部材をできるだけ大きく重くすることであった。
工場生産の部材の多い鉄骨造に比べると、鉄筋コンクリート造の躯体工事は主要部材が小さい。
そのため徹底したPCa化と鉄筋の先組を行い、部材を大きく重くし、現場での機械施工の大幅導入を可能にした。
大きく重い部材をタワークレーン、フォークリフトなどの機械でとりつけることによって、作業効率が上がるだけでなく、作業員の数と作業範囲を少なくできる。
そうして完全PCa化した柱、外周バルコニー、ハーフPCa化した床、現場地組ヤードでキ型・L型の形状に先組みした梁鉄筋、鋼製システム梁型枠といった部材を鉄骨造と同じように組み立て、
フロアを構築していく。
- 地球環境と作業員の安全にも配慮
ここでは当初から発注者と設計者の強い要望により、地球環境に配慮した設計が考えられていた。
そのため合板型枠ではなくスチールの型枠を使用。
結果的には800kgもあるシステム型枠は風に強く、電動ノコギリの使用などによる漏電、感電等の危険作業もなく施工性アップの一因となった。
また、バルコニーを先行設置することによって建物外周部からの墜落・飛来落下を防止できた。
このため雨や風で作業のできなかった日は一日もなく、現在も無事故・無災害で施工中である。
- きつい6日から楽な4日に
- 1日目:
- 作業階では墨出しを行った後PCa柱を取り付ける。次に柱脚部のグラウト作業と大梁先組鉄筋のセットを行う。また、下階では大梁システム型枠の取り外しを行う。
- 2日目:
- 作業階ではPCaバルコニーの吊り込みを行う。前日取り外したシステム型枠の作業階への盛り換え、取り付けを行う。
- 3日目:
- PCa小梁取り付け及びハーフPCa床版の敷設を行った後、床メッシュ筋の敷き込みを行う。
- 4日目:
- コンクリートの打設を行う。作業階では上階バルコニー用支保工のセットとタワークレーンのクライミングを行う。ヤードではPCa小梁部材の製作を行う。
当社ではこの現場で開発した1フロア4日サイクルの工法を、今後HiRC工法を採用している全ての現場に奨励し、作業の効率化と工期短縮を図っていく方針である。

写真は鹿島月報より転載
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