特集:正統な都心をつくる――虎ノ門タワーズ レジデンス&オフィス

Chapter 2 積み重なる歴史
由緒ある土地で・・・積み重なる歴史
 虎ノ門タワーズは,東京メトロ日比谷線神谷町駅から徒歩6分,南北線六本木一丁目駅から徒歩9分,また銀座線溜池山王駅,虎ノ門駅からも10分以内という,きわめて至便なアクセスを誇る。しかし,その最大の特徴はアクセシビリティだけではなく,レジデンス棟とオフィス棟,そして周辺への配慮がもたらすホスピタリティとの両立にあるだろう。
 敷地周辺はホテルオークラ東京のほかに,アメリカ大使館やスペイン大使館が建ち,静かで緑豊かな環境が保たれている。江戸時代には大名屋敷,明治以降は華族や財界人の邸宅街として知られる由緒ある土地である。
 その一角を当社が取得したのは1970年のこと。計画の焦点となったのは,土地の伝統を守りながら,そのポテンシャルを最大限に活用する開発の手法である。
虎ノ門タワーズの敷地配置図 住宅棟のエントランス付近CGパース
interview-1 岡村健司・開発事業本部事業部長
 虎ノ門タワーズは,土地の取得から35年という歳月を費やしています。今では鹿島だけの100%自主開発事業で推進していますが,この間,周辺地権者との共同事業化による大規模開発を計画し実現させようと,その時々に多くの担当者が携わってきました。それぞれの地権者の方向性,社内事情などベクトルが様々で,ベストなタイミングが取れなかったことが長期化した要因ですが,各地権者にとってみればこの場所が都心にありながら,きわめて得がたいポテンシャルを秘めていた宝ともいえる立地だったからこそであり,丹念に計画することがファーストプライオリティだったのです。
 レジデンス棟は「正統な建築」をめざした建物のデザイン,本物志向の上質な素材は大変ご好評をいただいております。今年2月の会員限定のご案内からはじめてもうすぐ第2期販売を終えようとしています。高額物件ではありますが,おかげさまでほぼ順調に販売させていただいております。竣工までの完売をめざしています。
 オフィス棟もレジデンス棟と同様に設計担当と綿密な議論を尽くしました。使い勝手はいうまでもなく,セキュリティを重視してインナーからのフロア構成を岡村健司・開発事業本部事業部長追及し,「テナント・オリエンテッド」をコンセプトに外資系企業が好む立地に相応しいオフィス空間を実現しています。
 2006年秋のオープンに向け,設計,施工,開発の担当者の誰もが誇りをもって仕事をしています。
この歴史あるプロジュクトを担当することを心から光栄に思っています。
都心のオアシスを創出する
 港区初となる敷地整序型土地区画整理事業はそのひとつ。6〜10mほどだった周辺道路の幅員が9〜12mへ拡幅された。さらに,市街地住宅総合設計制度を導入し,敷地面積の約6割の公開空地を設け,容積率緩和を受けた。周囲に見通しの利いた外部空間が生まれることとなる。
 敷地東側に古くから残る樹木をできるだけ保存し,樹木を加えることで新しい森として生まれ変わる。二棟の間にはサンクンガーデンが設けられ,気鋭の彫刻家の作品が置かれた静寂なスペースで憩いのひとときを過ごせる。
 周辺との調和を図りながら,より快適な都市環境づくりを追求した虎ノ門タワーズ。ゆとりある公開空地をもつパブリックスペースは居住者,オフィスワーカーならずとも利用したくなる都心のオアシスとしてオープンが待たれる。
column 憩いの場にアートの香りを――KAJIMA彫刻コンクール
 当社が創業150年記念を迎えた1989年に,ひとつのメセナ活動がスタートした。それがKAJIMA彫刻コンクールである。以来,「彫刻と建築と空間の調和」をテーマに開催され,現在ではわが国を代表する彫刻コンクールとして,高い評価を得ている。
 これまで屋内に設置するという条件で8回にわたって行われ,入賞作品は鹿島KIビル内のアトリウムに設置されているが,9回目となる今回は,設置場所を初めて屋外に移し,虎ノ門タワーズのサンクンガーデンとすることとなった。4月にはじまった作品募集では多数の応募があり,安田侃氏、槇文彦氏といった第一線で活躍する彫刻家,建築家による厳正な審査が現在行われている。
 記念すべき設置作品が決定するのは2006年1月末の予定。
彫刻が設置されるサンクンガーデンのイメージパース 建設が進むサンクンガーデン
interview-2 大竹利成・工事事務所所長
 現在のタワーマンションおよびオフィス供給ラッシュのなか,この虎ノ門4丁目プロジェクトは,デザインが優れていることもあって周囲からの評判もよく,非常にやりがいを感じています。
 今回は海外製作品を多用したのですが,本社,支店の管理部門と連携をとり,開発事業本部ならびに建築設計本部と協議をしながら調達の仕組みを現場で築き上げてきました。
 このように,開発,設計,施工の三者がある意味いい“対決”をしながら,三位一体でバランス良く仕事を行っています。将来,大竹利成・工事事務所所長最大で1,000人近くにもなる現場では,コミュニケーションをモットーに,お互いに挨拶を欠かさないようにしています。おかげでいい雰囲気で仕事ができていると思います。
 30年間温めていたこのプロジェクトに関われることを,とても光栄に思います。どんな人々がここで暮らすのかと,今から本当に楽しみです。
虎ノ門付近からの航空写真に完成予想CGを合成したもの



Chapter 1 伸び上がる建築
Chapter 2 積み重なる歴史
Chapter 3 築かれる理想