特集:まもなく完成,サミットウインドパワー鹿嶋発電所![]() |
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工業団地内に風力発電施設を建設 住友商事では,実用性の高い再生可能エネルギーの一つとして,風力発電事業を積極展開している。同社は2003年に100%出資のサミットエナジーホールディングスを設立して,茨城県鹿嶋市内で「サミットウインドパワー鹿嶋発電所」の計画に着手した。当社は2004年3月に同社と設計から風車の調達,建設,試運転までを行うフルターンキー契約を結び,2005年10月に建設に着手した(2007月2月操業予定)。 導入された風車は出力2,000kW,スペインのガメサ・エオリカ製10基。これらを住友金属工業鹿島製鉄所の構内(4基),鹿嶋市北海浜工業団地内の工場敷地(4基),平井浜(1基),および市営北海浜多目的球技場(1基)に設置した。地権者の異なる工業団地内に風力発電施設を設置するのは,日本では初めての試みである。 この風力発電事業は,資源エネルギー庁による「新エネルギー事業者支援対策事業」の事業費の一部補助を受け,年間総発電量4,200万kWhの全量が東京電力へ売電される。これは約1万2,000世帯が1年間に消費する電力量に相当し,鹿嶋市の一般家庭が一年間消費する約半分を賄う量である。原油換算にすると,年間1万kl相当の一次エネルギー使用量であり,二酸化炭素を年間約1万8,000t削減する効果がある。 |
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スペイン・ガメサ・エオリカ製の風車に決定 風車は,建築基準法上の工作物に該当し,建築基準法に則って構造計算,安定計算を行う。設計に用いる暴風時の風の力(風圧力)は,地上高さ10mでの10分間の平均風速である「基準風速」を基に,構造物の高さに応じた設計風速に換算され,構造物にかかる風圧力を算出している。 基準風速は市町村別に定められていて,鹿嶋市の場合は36m/s。本州では銚子から房総半島にかけての38m/sに次ぐ高い数値である。サミットウインドパワー鹿嶋の風車のハブ高さは78mだから,設計風速は48.9m/sとなる。この値は10分間の平均風速なので,最大瞬間風速なら70 m/s以上に相当する。 これを踏まえ,国際規格(IEC)クラスTの認証を持つ,スペインのガメサ・エオリカ製の風車を採用することになった。同社は,スペインのガメサグループの中核企業で,ヨーロッパを中心に展開する世界シェア第4位の風力発電機メーカーである。当社は,ガメサ・エオリカの日本における輸入代理店である,東芝プラントシステムを通じて,ブレードとナセルはスペインから,タワーは韓国から調達することになった。 風車の構造物としての安全性は,上記の建築基準法に基づく建築確認・検査を受けるほか,事業用電気工作物,いわゆる発電所としての安全性の確認が,経済産業省による使用前安全管理審査によって行われる。 |
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まっすぐ伸びた柱と巨大な翼。風車が広々とした大地に回転している姿は雄大で,見ている人の心を和ませる。意外に知られていない風車の仕組みなどを,Q&A方式で説明しよう。 |
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Q1. 台風などの強風時はどうするの? | |
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A 必要以上に強い風は風車に負担をかけ,事故や故障の原因にもなります。この風車は25m/sを超えると自動で運転を停止するよう設計されています。運転を止めるには,ブレードの角度を変えて,風が当たる面積が最少になるようにします。その状態を「フェザリング」といいます。 |
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Q2. 風向きが変わったら? |
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A ナセルは自動的に風の吹く方向に向くよう設計されています。風向計のデータをナセル内のコンピュータが解析して向きを調整しています。ナセルが一方向だけに回転すると,タワー内部にある電気ケーブルがよじれて切れてしまう恐れがあるため,4回転半になった時点で,自動的に逆方向に回ってねじれを無くすよう設計されています。 |
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Q3. 風車の内部はどうなっているの? | |
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A ナセルには増速機や発電機,ブレードの角度や向きを調整する装置,これらを制御するコンピュータが搭載されており,点検のために数人が入れる程度のスペースが設けられています。タワーの内部は空洞で,最上部のナセルまでは昇降装置を使い,4分程で上がることができます。建設時には併設された梯子を使い,片道10分以上かけて上り下りしました。 |
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