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特殊工法が駆使される鉄道工事

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仙石線地下化工事でパイプルーフ工法が威力発揮

 仙台と石巻を結ぶ仙石線を起点の仙台駅から4kmに渡って地下化する事業が進められている。 地下化により、 利便性向上、 輸送力の増強を図るとともに、 鉄道による市街地の分断を解消し、 都市の均衡のとれた発展が期待される。 当社は仙台駅構内の工区を担当している。 東北の要衝・仙台駅に発着する列車の本数は在来線だけでも一日約500本、 乗降客は23万人を数える。 これらの乗降客の足をとめることなく工事を行うため、 パイプルーフ工法が採用された。 この工法は直径1000mm、長さ70mの鋼管を線路の下に31本さし込み、 軌道直下を堅固にして地下掘削を行うものである。 一本当りの長さもさることながら、 その総延長は2126mと国内最大級の規模である。 徹底した日常管理の結果、 精度良く掘進することができ、 1994年土木学会東北支部から総合技術賞を受賞した。 現在はこのパイプを笠に掘削が順調に進められている。

  場所	:	仙台市青葉区中央1丁目1番地内
  発注者:      東日本旅客鉄道
  設計	:	東日本旅客鉄道
  工期	:	1989年11月〜1995年2月(その8工事) (東北支店施工)

東北線赤羽駅付近連続立体交差化工事でURT工法を採用

 この事業は東北本線および現在単線で運行している東北客貨線の両線の、 JR赤羽駅を中心とする約2.4kmの区間を高架化すると同時に赤羽駅を改良するもので、 完成するとこの間の6カ所の踏切と市街地の分断が解消され、 赤羽駅における各線の乗換の利便性が向上する。 当社は、 駅北部の高架橋工事を担当している。 工事は第1期が完了し、 東北客貨線が延長600mに渡って高架線に切換えられた。 工事は引き続き東北本線の複線高架橋の築造が行われている。 この工事では施工にともない人道跨線橋が廃止されたため、 地下通路が築造されたがこれに際してURT(Under Railway Tunnenlling)工法が採用された。 この工法は矩形の小断面の鋼製エレメントを圧入してトンネルの形成し、 内部にコンクリートを打設した後に掘削するもので、 鉄道営業線直下の土被りの薄い部分でも安全に早く掘進できるものである。 今回は仮設通路であるが、 本設のトンネルにも適用可能であり今後の発展が期待されている。

  場所	:	東京都北区赤羽台3−1−16
  発注者:      東日本旅客鉄道
  設計	:	東日本旅客鉄道
  工期	:	1992年3月〜1994年8月(東京支店施工)

西鉄大牟田線立体化工事でゴライアスクレーンが活躍

 北九州市に一大ネットワークを形成する西日本鉄道。 そのメインラインである大牟田線の福岡〜平尾間1.7kmで連続立体交差化工事が本年3月の切替に向けて着々と進んでいる。
 当社が担当した第二工区は、 既設営業線の真上に高架橋を築造するという直上高架方式が採用された。 この工法で活躍したのが九州初登場の大型作業台「第1、 第2ゴライアス」と、 大型移動支保構台「トラベラー」である。 第1ゴライアスは基礎杭を、 第2ゴライアスは柱を築造するために改造並びに製作したものである。 総重量は両者共130tで、 既設の線路を跨ぐ恰好をしており、 軌道の両わきに敷設された専用のレール上を自走できるため、 作業を連続して行うことができる。 またトラベラーは柱施工後、 床版と梁を施工するための支保構台である。 この3種類の作業台車により無事故無災害で高架橋を完成することができた。

  場所	:	福岡市中央区平尾1丁目他
  発注者:      西日本鉄道
  設計	:	西日本鉄道
  工期	:	1985年10月〜1995年3月(九州支店施工)


写真は鹿島月報より転載

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