特集:羽田Report――D滑走路建設工事
D滑走路建設工事――100年耐用の滑走路づくり
様々な制約下での24時間施工
 作業高さが必要なジャケットの据付けや,杭打ちなどの作業は,工事のために設定された夜間作業可能時間帯(20:45〜翌7:45)に行うなど,施工は24時間行われている。
 風速や風向により,夜間のA,C滑走路の運用時間や離発着の進入方向が変わる場合も多い。航空機の安全と工事の進捗に影響が出ないよう空港側と綿密に連絡を取り,迅速に対応している。
 一方,現場海域は漁船,貨物船,プレジャーボートなどの一般船舶と,一日100隻程度の工事用船舶が行き交う輻輳海域。JV内に「東京航行安全情報センター」を設置し,東京湾内のほぼ全域をカバーするレーダーを備え,全ての工事用船舶の管理を行う。また,現場に8隻の警戒船を24時間配備。全長200mを超えるような大型曳航船について海上保安部署などに対する許認可,航行ルートの事前周知などの徹底を行っている。
東京航行安全情報センターの設置
 JV内に設置した航行安全対策を行う組織で,国土交通省,東京都とJV関係者が共同で情報の収集・提供を一元的に24時間管理するとともに,海事関係者と水域利用者に対し工事関係の情報発信を行う。
東京航行安全情報センターの設置
東京航行安全情報センターの設置  また,工事安全対策の策定を行い,学識経験者,海事関係者,関係行政機関,関係地方公共団体などで組織する検討会で審議・承認されている。
航空制限イメージ 工事の大部分は,運用中のA,C滑走路の航空制限下での施工となる。着色部は高さ制限区域
地盤改良工。夜間は航空機の離発着に影響がないように,照明の向き,色を変えるなどの措置をとった
埋立/桟橋接続部。杭長56.1〜74.5m,杭径1.6mの鋼管矢板641本を夜間工事で打設した
桟橋部。上部の鋼桁下面をチタン製カバープレートで覆い,内部空間に除湿機を設置して湿度管理を行い鋼材の腐食を防ぐ
埋立部。外周部の捨石護岸の施工 ジャケット下部の鋼管レグには耐海水性ステンレス鋼ライニングを適用。鋼構造物の維持管理費用を最小にし,ライフサイクルコストを低減する
連絡誘導路部ジャケット 製作から据付まで
1.新日鉄エンジ若松工場(北九州市若松区)での製作状況 2.ジャケット完成。高さ23m,幅63m,重さ1,400t
3.現場へ台船で運搬 4.ジャケットを吊り上げ,予め打設済みの杭近くへ移動
5.GPSを用いた位置誘導システムによりジャケットのドッキング 6.据付完了

 D滑走路建設工事――100年耐用の滑走路づくり(1)
 D滑走路建設工事――100年耐用の滑走路づくり(2)

 D滑走路建設工事――100年耐用の滑走路づくり(3)
 国際線地区関連工事――2010年秋の供用開始を目指して