特集:羽田Report――D滑走路建設工事
国際線地区関連工事――2010年秋の供用開始を目指して
 東京国際空港再拡張事業のうちD滑走路整備と並んで進められている国際線地区の整備では,エプロン(駐機場),国際線旅客ターミナル,貨物ターミナルを建設中だ。東京モノレールと京浜急行の国際線ターミナル駅の新設なども急ピッチで整備が進められている。当社はこの地区の建設にも参画している。

東京国際空港国際線地区エプロン等整備等事業
 国際線地区エプロン等整備等事業は,当社を含む6社で構成する特別目的会社(SPC)「羽田空港国際線エプロンPFI」がBTO方式で実施している。同SPCが国土交通省関東地方整備局と事業契約を結び,設計・施工,引渡しの後,維持管理を25.5年間にわたり行う。国内初の土木分野における大型PFI事業である。
 事業用地は約67ha。基本施設(エプロン他),航空保安施設,付帯施設,構内道路・駐車場などをA,B 2工区で整備する。当Gr(鹿島・東亜・鹿島道路)はこのうちB工区を担当。2006年4月に設計着手,2007年3月に着工し,竣工は2009年9月の予定である。
完成予想パース 羽田空港国際線エプロンPFI
MAP 東京国際空港国際線地区エプロン等整備等事業
事業者:羽田空港国際線エプロンPFI
場所:東京都大田区羽田空港2丁目
設計施工:大成・鹿島・五洋・東亜・鹿島道路・大成ロテックJV
規模:基本施設(エプロンほか),航空保安施設,付帯施設,構内道路・駐車場,緑地工ほか
工期:2006年4月〜2009年9月
(東京土木支店JV施工)
北側エプロン全景
構内道路 共同溝の施工
発見された高射砲びっくり!地下から高射砲
 2007年6月,南側エプロンの地盤改良工事に着手後,旧日本軍のものとみられる高射砲が地下約2mで発見された。戦時中,羽田空港の周辺は旧日本軍の高射砲部隊が置かれていたという。国土交通省が報道関係者に公開し,話題を呼んだ。
東京土木支店 第二土木統括事務所羽田空港エプロン工事事務所井上哲夫 所長安全のバトンをつなぐ
 エプロン(駐機場)は,航空機の重さに耐え,降雨による水たまりをつくらないために勾配を確保しつつ,なおかつ平坦性を保つことを要求されています。供用後のメンテナンスも考え,コンクリートの品質確保には技術研究所と相談しながら細心の注意を払って施工しています。
 工事では,大規模地震時にも被害が発生しないように液状化対策工を行います。また,現場内は,東京モノレール高架橋が近くを走り,営業中の京浜急行トンネルや航空機燃料パイプラインなどが地下に埋設されているため,これらの安全性を確保するために軽量盛土工を採用するなどの対策を行いながら工事を進めています。
 昨年,土工協を含む建設業五団体合同安全公害対策本部の交通事故防止対策優良事業場に選定され,当Grが表彰を受けました。安全は,一人ひとりの役割が大切であり,一人でも欠けたら安全は維持できません。常に自分のなすべき役割を自覚し,所員,協力会社,作業員それぞれが安全のバトンをつないでいくことが重要だと考えています。
 現場では,コミュニケーションを大切にしています。所員は,家族と過ごす時間よりも長い時間を一緒に過ごします。縁あって同じ場所に集まった者同士が連帯し,物をつくる喜びをみなで分かちあうことで,更なる喜びや,やりがいにつながればとても嬉しく思います。
完成予想パース国際線旅客ターミナルビル等整備・運営事業
 国土交通省東京航空局による国内初の空港ターミナルのPFI事業をBOT方式で実施。日本空港ビルデングを代表会社とする特別目的会社「東京国際空港ターミナル」が事業主となり,主に日本と東アジアを結ぶ国際線の旅客施設を建設する。施設貸与業務,旅客取扱業務などの事業を2038年4月まで行う。
 施設は旅客ターミナルビルと駐車場で構成。4工区のうち,当社JVは,S造,5階,延床面積15万9,300m2の旅客ターミナルビルのA,B工区を担当する。
 1階は道路交通アクセスを受け入れ,2階は到着階,3階は出発階,4,5階は商業・サービス施設となる。フラットで階層移動の少ない動線とわかりやすい配置計画で,利用客の利便性を高める。
完成予想パース
東京国際空港国際線地区旅客ターミナルビル等
新築工事(A,B工区)

発注者:東京国際空港ターミナル
場所:東京都大田区羽田空港2丁目
設計:羽田空港国際線PTB設計共同企業体
監理:羽田空港国際線PTB監理共同企業体
規模:南ウイング―S造 3F/本館・連絡通路・供給処理棟―S造一部SRC造 5F 総延べ142,015m2
工期:2008年5月〜2010年7月
(東京建築支店JV施工)

 D滑走路建設工事――100年耐用の滑走路づくり(1)
 D滑走路建設工事――100年耐用の滑走路づくり(2)

 D滑走路建設工事――100年耐用の滑走路づくり(3)
 国際線地区関連工事――2010年秋の供用開始を目指して