特集:想像から創造へ 鹿島社員の「初夢」メッセージ
国内外からの社員の2010年「初夢」メッセージ 全国各地の現場・本支店の職場や海外で頑張っている社員の皆さんから届いた2010年「初夢」メッセージです。
サダル,アミル アハマド 母国に描く「でっかい夢」

土木設計本部 設計技術部解析技術グループ
サダル, アミル アハマド
 地震に強い社会基盤を母国イランに整備する,そんなでっかい夢を描いています。イランは,ユーラシアプレートなど3つのプレートがぶつかり合い,多くの活断層があって,日本と同じ地震国なのです。
 でも,日本と違って大きな建設会社が少ない。技術的にも成熟していません。5階くらいのマンションなら,資機材を集めて自分で建ててしまう。だから地震による被害は想像以上です。2003年には4万2,000人もが犠牲になりました。
 そんな環境で育ったから,建設業に就いて皆の役に立ちたいとずっと思っていました。テヘラン大学で建造物・地盤・地震について学んだ後,日本政府の留学制度で来日。東京大学大学院で地震断層の解析手法などを研究して,昨年6月鹿島に入社しました。
 いま,母国の友人が自宅を建設中で,工事写真をメールしてきます。日本の耐震基準に合わせた鉄骨の量や太さなどをアドバイスしているところです。これも私の夢実現の第一歩。被災地へ水や食料などの生活物資を供給できる交通インフラ網,地震で建物が崩壊しない耐震基準,そして政府の災害リスク管理体制――。鹿島で得られる知識を活かして,イランの国土を地震から護り,安全と安心をイランの人たちへ贈りたい。
母国に描く「でっかい夢」
鴨下友一 「輪中」を繋げる海底都市

東京建築支店 第二統括事業部 
東京国際空港国際線地区旅客ターミナルビル等
新築工事(A・B工区)事務所工事課長代理
鴨下友一
 中学生のときに読んだ科学雑誌の特集で,「21世紀の日本」というのがありました。その中に1,000m級の高層建築物,地中都市や海底都市構想が記され,それが建設業に興味を持つきっかけになりました。最近のニュースによれば,100年後に温暖化の影響で海面が1〜2m上昇するということですから,地底都市・海底都市構想が現実になるのでは,と思ったりしています。
 私の描く海底都市のイメージは,比較的浅い海底面(大陸棚)をダムのような堤防で「輪中」のようにぐるりと円筒状に囲い,内部の海水をポンプで排水して海底だったところを地盤にします。「輪中」内部には放射状の幹線道路を設け,緑豊かな公園を多く配置します。堤防の上は環状道路。それぞれの「輪中」同士をトンネルや橋梁で繋げていきます。
 この海底都市は,現在建設中の羽田国際空港のハブ空港化構想をヒントに思いつきました。海底都市では生活圏となる「輪中」を中心(ハブ)に,行政や産業の「輪中」ブロックがトンネルや橋梁(スポーク)で繋がる,というイメージです。
 「輪中」の応用で,水没危機にある太平洋の島国などを救うことができるかもしれませんね。

「輪中」を繋げる海底都市
橋本 芳 緑の「夢」を描き続ける
技術研究所
地球環境バイオグループ
研究員
橋本 芳
 私の夢は,どのような場所でも無理のない形で健全に育つ植物や,それをとりまく自然環境を作り出すことです。
 例えば,都会の街中でも気軽に子供たちが泥んこ遊びや昆虫採集など,田舎のような体験がごく普通にできること。青々とした木陰に包まれた建物で,様々な花を観賞したり,実を収穫したり,花や実に集まる昆虫や鳥などに触れられたら。建物や構造物と植物とが一体化した自然な姿を思い浮かべます。
 現在の都市緑化の植物は,管理上の理由から農薬を散布したり,刈り込んだりして無理やり生かされています。我々はもっと植物と向き合い,植物が生育しやすい環境を受け入れる必要があります。研究を毎年少しずつ積み重ねて,これからもずっと緑の夢を描いていきたいです。
緑の「夢」を描き続ける
原 利明 人に優しいまちのユニバーサルデザイン
建築設計本部
品質技術管理統括グループ
環境・性能グループ
チーフ
原 利明
 歩いて暮らせるコンパクトで安全・安心,かつ,心豊かなまちの実現が,私の夢です。
 住環境と職場が近接したまちとすることで,通勤苦から解放され生活に時間的な余裕が生まれてきます。人々はまちに繰り出し,音楽や芸術に触れ,家族や友人達と食事や会話を楽しむことができます。例えば,ディズニーランドは,凸凹の石畳や路面電車のレールなどがあり必ずしもバリアフリーではないかもしれませんが,きめ細かなホスピタリティが補い楽しめる空間になっています。そこでは目を閉じると音,匂い,活気などで五感が刺激されるのです。
 ユニバーサルデザインによるまちは,凸凹すら楽しめてしまうような心豊かなまちとなると考えています。まちが人の五感を刺激し誰もが人間らしく暮らせる。そんな人に優しいユニバーサルデザインのまちを思い描いています。
人に優しいまちのユニバーサルデザイン
岡田直樹 自然と共生する土木構造物をつくる
北海道支店 
新桂沢ダム
取水塔工事事務所
工事課長
岡田直樹
 私の夢は,造れば環境が良くなる土木構造物です。建設資材は循環型資源のみを使用し,天然資源はほとんど消費しません。CO2や産業廃棄物を全く排出しない施工のみならず,完成後も土木構造物そのものが光合成や水を浄化する機能を持ち,自然と共生するものに進化しているのです。
 環境負荷が全くない工事で,自然環境と共生した土木構造物が人々の暮らしを守り・支える。そんな100年先の未来を夢見ています。
鈴木猛丸 東北エリア全域で社会貢献を続けたい
東北支店 
管理部 購買・広報グループ
課長代理
鈴木猛丸
 東北支店でも,様々なCSR活動を行なっています。先日,盛岡市の伝統行事「チヤグチャグ馬コ」で40年間馬の休憩所を無償提供してきたことで感謝状をいただきましたが,当社は各地で地域やお客様との深いつながり・信頼関係を築いています。先輩方が残した偉大な足跡・功績を大切に,経営理念の「社業の発展を通じて社会に貢献」する使命があると考えています。今行っている活動が 100年後も続いていることを私の初夢とします。
大林信彦 公共事業の大切さを伝えたい
関東支店 
栃木営業所湯西川ダム
本体建設JV工事事務所
機電係
大林信彦
 大規模ダムの現場に赴任しました。過去に類を見ない高速施工のダムプロジェクトに関わることが大変貴重な経験になっています。
 世間ではダム建設によくないイメージがもたれていますが,現場では急がれる治水対策や有益な利水事業のため,少しでも早くより良いものを造ろうと300人を超える職員・作業員が日々作業しています。このように多くの人が努力しものづくりをしていることや社会基盤としてのダムの大切さを広く伝えたいです。
橋本 勇 大規模プロジェクトの経験を活かしたい
東京土木支店 
第三土木統括事務所
大橋ジャンクション
北統合事務所大橋換気所
JV工事事務所
工事係
橋本 勇
 土木屋ですが,首都高速3号渋谷線と中央環状新宿線及び品川線を接続する大橋ジャンクションのプロジェクトで換気所工事(建築工事)を担当しています。
 まずは竣工まで現場を安全に運営し,供用時にはジャンクション内の換気機能が満足される感動を味わいたいと思っています。将来,この土木建築融合プロジェクトで得た経験を活かし,現場におけるQCDSEの改善が可能になる技術開発に,誰もが考えつかないような発想で挑みたいです。
小川博之 時を経て価値が高まる建物をつくる
東京建築支店
第二統括事業部 ヤマハ
銀座ビル新築工事事務所
工事課長代理
小川博之
 楽器の「ヴァイオリン」は,数百年という時間と使用を経て最高の性能を発揮するといわれています。建物は時間の経過とともに劣化し陳腐化しますが,それに逆らって付加価値を高める,そんな建物を私はつくりたいです。
 現在施工しているコンサートホールのステージ材料には,高級楽器に使用されているエイジング(経年変化)技術を建築材料として初めて採用しました。将来,どんな音を奏でてくれるか?今から楽しみです。
北條 毅 地域社会と共生するモノづくり
横浜支店
営業部営業グループ
課長代理
北條 毅
 都会の喧騒にも殺伐とした工業地帯にも,自然を楽しめる,五感を刺激するような空間を持つ建物を増やしたい。地域社会とも共生し,皆がそこから安らぎや活力を得,経年変化をも楽しみ,長きにわたり地域に貢献していく。そんなモノづくりができたらいいなと思います。良いモノづくりをするために,関係する多くの方々から信頼を得るべく日々尽力し,私への信頼を,ひいては鹿島への信頼を買っていただくこと,この夢を早く正夢にしたいですね。
比留間 正二郎 建設業の魅力を広めたい
北陸支店
管理部現業グループ
(新潟地区担当)
事務係
比留間 正二郎
 建設業に対するイメージ・評価はいまひとつのようですが,震災におけるライフラインの復旧などの重要な仕事は建設業なしでは成り立ちません。人が生きていく上で必要不可欠な衣・食・住のうちの「住」を支えているのです。大切な役割を担っている建設業の魅力をより多くの人たちに広めていくということが私の夢です。そのために,まず一つひとつの仕事をこれまで以上に誠実に行うことで人々の理解を得て,鹿島および建設業界に貢献していきたいです。
石原泰幸 女性がいっぱい働く明るい現場
中部支店
三重営業所伊勢湾横断
シールド統合事務所
知多工区JV工事事務所
工事係
石原泰幸
 来るべき高齢社会に向けて,建設業の労働力を確保するためにも,多くの女性が快適に働くことのできる現場を実現するのが私の夢です。
 そのためには,様々な課題をクリアする必要があります。労働環境の抜本的な改善をおこない,労働災害のない安全な職場とすること。また,男性なら手で行う力仕事でも女性では機械が必要となるので,全作業での機械化です。そして,自らの意識改革も重要で,人間的に優れて話題作りも欠かせないという一面も必要でしょう。
境 治彦 京都議定書の街で夢に願う
関西支店 
京都ヨドバシビル工事事務所
工事課長
境 治彦
 京都は多くの緑に囲まれた自然の多い街です。京都議定書が議決された土地でもあり,地球温暖化に関することがとても気になっています。CO2削減目標達成のために何かできないか。例えば,光合成する建材を開発したり,CO2を消費する微生物を大量に養殖してメタンガスを取り出す工場を作って燃料にします。また,砂漠を緑化するため,人工の山脈のような超超高層ビル群を作って気流を制御すれば,雨を降らすことが可能になるかもしれません。そんな夢を持っています。
阿部雅弘 次世代に技術を伝承したい
四国支店 
新居浜営業所 
住化タンク基礎工事事務所
工事係
阿部雅弘
 これから挑戦してみたいのが大深度地下空間利用プロジェクトです。地下を利用した都市再生,長距離トンネルなどの可能性は大きく,中央リニア新幹線の延伸で関西から四国を通るルートで九州に伸びる四国新幹線の構想も捨てきれません。今後国内でのビッグプロジェクトは減少すると思いますが,海外にも目を向け,次世代への技術継承の場を設けて技術力を発信し続けることが,リーディングカンパニーの務めであり,私もそうありたいと思います。
山本大太 総合力で環境創造のお手伝い
中国支店
営業部
課長
山本大太
 長く不動産開発部門に在籍して培ったノウハウを活かし,営業のコーディネータとして「お客様が潜在的に抱いている“建物・環境創りの解”を,建設のプロとして上手く引き出し,整理・昇華させること」が私の夢です。
 企画,開発,設計,施工,施設運営まで,設計者・施工者と協力しながらチームプレーで挑戦しています。総合力を結集して,お客様が必要とする建物・環境創りのお手伝いを中国地方で数多く手掛けていきたいです。
大須賀 之精 九州の100年をつくる
九州支店
福岡建築出張所
西南学院小学校新築・
中高増築工事事務所所長
大須賀 之精
 品質・安全・環境・工期等のバランスのとれた施工で九州地区に良質の建築物を一つひとつ築き上げていくのが私の夢です。また,2010年,「シティマラソン福岡」に出場し,今まで自分が携わった建物たちを横目に走り,フルマラソンを完走する目標を持っています。
 出発(着工)して最初は快調でも,時には躓いたり,くじけそうになったりするけれど,やっぱりゴールを目指して頑張って,最後に完走(竣工)した時の嬉しさは,マラソンも現場も一緒ですね。
杉本 竜之進 PFI事業の完走を目指して無我夢中
つくばネクストパートナーズ
出向・経営企画部長補佐
杉本 竜之進
 今担当しているPFI事業にはチーム立上げとともに関わり,落札者決定後にプロジェクトの会社に出向しました。私の夢は,この事業の成功に貢献して病院経営,許認可,管理運営などに関することがすべて経験値でわかるスペシャリストになることです。事業の立上げ段階では初めてのことばかりですが,「あいつは医療をわかっている」と言われるようになりたいです。
 今は23年間の国立大学病院初のPFI事業を成功裏に完走させることに無我夢中です。
阿部 万紀子 成長の余地を見込んで
海外出向KOA
スナヤン開発
(インドネシア ジャカルタ)
阿部 万紀子
 昨日できなかったことが今日できるようになる。毎日がそんな驚きで満ちたインドネシアで,不動産開発に携わっているわたしの夢は,その後の成長を受け止められる街づくり。例えば伸びしろを空間的にも成長の余地として取っておいて,無理なく成長し続ける街をつくってみたい。この不動産投資が,自然との関係が希薄になってしまった大都市の改善の一助になるのでは,と発展途上のわたしの夢は広がる。さらなるヒントを求めて今日もジャカルタを奔走しています。

 座談会 夢の都市像を語る
 夢は実現する。Dreams come true.

 国内外からの社員の2010年「初夢」メッセージ