特集:ライフサイクルのトータル・マネジメントへ![]() |
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建設業のネクストステージへのリーダーシップ──胎動する次世代像の一部はすでに産声をあげている。その事業手法とマネジメントの産物は,さまざまな領域に広がる。 紹介するレシピは,鹿島グループが将来を見据えて取り組む事業の一部である。しかしそれは,「General Contractor」の将来像をイメージさせるものであり,社会性や環境性をも内包しているのだ。 |
資産マネジメント──A コンストラクションマネジメント/プロジェクトマネジメント──P/C ビルマネジメント──B 環境マネジメント──E |
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物流の都合上,内陸に工場をつくると水事情が厳しくなる──この矛盾に当社の技術が応える。医薬品工場向けの用水・排水処理設備水のセミクローズドシステムである。 その効果は従来型の工場と比較して,給水量1/4,排水量1/10,水処理プラントのイニシャルコスト1/2,ランニングコスト1/3にまで低減する。また,既存の技術や機器にも敷設できる。 水のリサイクル率90%を実現した本システムは,経済性,環境性に優れ,このドリンク剤工場のように水多消費型の半導体工場などにも適している。将来のゼロエミッションへと導く「水のエンジニアリング」として,第38回空気調和・衛生工学会賞を,技術賞技術開発部門にて授与された。 |
事業:工場建設,給排水システム開発 所在地:埼玉県羽生市 運営開始:1997年8月 担当:建築設計エンジニアリング本部, 関東支店 |
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![]() 水の種類 |
多量に水を使用する生産機器について,給水水質の見直しとカスケード利用・間接熱交などにより大きく使用水量を減じた。また,タンクなどの洗浄水については,時系列での水質調査を行い濃厚部分を層別して回収し,生物処理負荷を減じた |
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諏訪市の「健康文化と快適なくらしのまち創造プラン事業」の一環として整備された医療福祉施設に,環境配慮型の熱と電力を供給する諏訪エネルギーサービス。特定電気事業の認可第1号として,当社と諏訪ガスなど10社で設立した事業会社である。 液化石油ガス(LPG)を燃料に発電し,その排熱を地域冷暖房に再利用するコジェネレーションシステムによって,NOxやCO2の排出が抑えられている。施設計画・建設とエネルギー供給だけでなく,プラントの運営管理や収容建物のリースを含めて事業全体を鹿島グループがまとめる。環境配慮型のインフラでもある本件は,「鹿島グループのまちづくり」へと広がるシステムともいえるだろう。 |
事業:需要家への熱・電力供給 所在地:長野県諏訪市 運営開始:1998年10月(電力供給) 担当:エンジニアリング本部,関東支店, 鹿島建物総合管理,鹿島リース |
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プラント外観 | ガスタービン発電機 |
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お客様のプロジェクトチームの一員となって建設プロセスを推進する──従来の一括請負方式や類似のシステムに加え,新サービスのひとつとして,プロジェクトマネジメント(PM)/コンストラクションマネジメント(CM)がはじまった。 当社では,ルーセント・テクノロジーとグローバル包括契約を結び,世界に展開する同社の事務所・研究所などの新規開設・拡張・縮小・移転プロジェクトのすべてについてPM/CM業務を行っている。建設プロセスとコストに透明性・合理性・グローバルスタンダードが求められる今日,建設プロセス全般に対する当社の管理ノウハウ・設計力・技術力が,お客様の「パートナー」となり,ニーズを最適に具現化させる。 |
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事業:世界各国の事務所のPM/CM。
日本では8プロジェクト(2000年度実績) 契約対象国:日本,香港,タイ,ベルギー,オランダなど世界10ヵ国 運営開始:1998年2月 担当:建築設計エンジニアリング本部 PM/CMグループ |
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![]() 日本ルーセント・ テクノロジーのオフィス |
![]() (C)馬場祥光 |
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不動産コンサルティングに建設業がエージェント的役割を果たす──土地神話が崩壊し,不動産の価値は,生み出されるキャッシュフローによって評価されるようになってきた。不動産投資信託(J-REIT)の誕生など,不動産と金融の融合による投資マーケットも育ちつつある。 当社では建物の耐震診断などのエンジニアリングサポートを従来から行ってきたが,建設・開発事業で培った専門ノウハウを活かし,不動産投資に関わる様々なサービスを提供している。 昨年10月に設置した資産マネジメント事業部は,不動産取引や資金調達の際のデューデリジェンスやアドバイザリー業務,お客様の利益の極大化を図るプロパティマネジメント,お客様の代理・補佐役としての仲介業務など,幅広い活躍を見せている。 |
担当:開発事業本部 資産マネジメント事業部 |
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老朽庁舎の建替えと未利用地の有効活用を一体として求められた今回のMAFFケンブリッジ庁舎プロジェクト。約12haの敷地に対して1.9haは新庁舎,残る約10haには住宅地を形成する。当社の英国現地法人Kajima UK社が事業提案し,受注した。庁舎には維持管理や会議室管理,郵便物処理などのファシリティマネジメント・サービス付きでMAFFに30年間賃貸する。一方の残余土地は住宅地開発が最適と判断し,現地ディベロッパーへの転売を前提に土地を取得。結果的に,MAFFにとって最大限の経済的メリットをもたらすことになる。 英国PFI事業における日本企業初の単独受注でもある本件。当社の総合力による事業の「仕組みづくり」が,公共サービスの「Value for Money(顧客投資価値)の創造的な向上」の具現化へと導く。 |
事業スキーム (組織および契約関係図) |
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事業:庁舎建設,資金調達,住宅地開発 所在地:ケンブリッジ市(イギリス) 運営開始:2002年(予定) 担当:Kajima UK,海外事業本部, 開発事業本部PFIマネジメント室 |
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完成予想図 |
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New Business |
知的財産を 新たなマーケットへ 担当: 新事業開発部,テクノウェーブ |
美術館の建築性能を戸建住宅に 当社の大型建設プロジェクトには様々な研究成果と技術が導入される。例えば美術館では,展示品の変質を防ぐために内装材は調湿・脱臭効果の高いものとなり,陳列ケースには免震装置が付く。当社は,特殊な性能をより広範に普及させるために技術を商品化して販売し,当社以外の建設工事での使用も積極的に推進している。また,一昨年には関連業務を専門的に行うグループ会社テクノウェーブを設立した。「知的財産の商品化」ともいえる本事業は,リニューアル工事にも適し,当社のエンジニアリング力やノウハウの蓄積を従来以上に広く社会へ還元することにもなる。それはまた,新しい研究成果と市場のニーズをつなぐ物流産業,情報産業でもあるのだ。 |
呼吸する内装材と北杜学園地下食堂。調湿・脱臭・吸着・イオン交換に優れた天然ゼオライト鉱石を応用することで実現した。「呼吸」が快適性,経済性,環境性を生む。戸建住宅にも広く採用され,「シックハウス」を「エコハウス」へと導く。 |
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![]() 天然ゼオライトを応用した呼吸性内装材「ブレースボード」 ![]() 地下食堂での使用例(北杜学園) ![]() 個人住宅の天井への使用例 |
戸建住宅の免震装置。地震の揺れは,通常の住宅では増幅されるが,免震住宅では装置が受け流し,建物は水平にゆっくりと流れる。ボールベアリングが受皿上を滑らかに動くためで,本来は,コンピュータルームなどの床免震用として開発されたもの。 |
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![]() 免震装置の有無による揺れ方の違い ![]() ボールベアリングの動き ![]() 鉄骨床梁の下に設置された免震装置 |
廃ガラスをリサイクルした土木資材。軽量,無公害,安価で施工性と耐久性も優れており,擁壁の裏込めや埋め戻しなど,用途は広い。空きビンのリサイクルで懸案となる「その他の色」も使用でき,資源循環型社会の実現への特効薬として期待される。 |
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![]() 新軽量土木資材「スーパーソル」 ![]() 施工例 |
![]() |Chapter1:拡張するマネジメント・シーン |Chapter2:次世代マネジメント・レシピ |Chapter3:マネジメント=プロフェッション×イズム |