●建物内部の破損も最小限に
今回採用された免震構法は、建物の上層構造の各柱下と基礎との間に、「高減衰積層ゴム」を設置するもので、免震装置が地震の衝撃を吸収することにより、地震時の建物の横揺れを3分の1〜5分の1に低減できる。本構法により、建物本体はもちろんのこと、設備機器などの破損を防ぐことができる。特に本校舎は、調理実習で火気を使用したり、介護実習で浴槽を使用することが多いため、地震時に建物内部の破損も最小限に食い止めることが重要である。
長岡市は1961年に長岡地震、1964年に新潟地震を体験しているだけに、阪神淡路大震災を契機に地震に対する関心が一層高まった
雪の中で施工中の4階躯体![]() |
●安全性を高めるための工夫
大地震時でも免震構法により、建物の揺れが抑えられるので、窓ガラスの破損も防ぐことができる。さらにこの建物では、エントランスの鉄骨造の屋根が地震の揺れに合わせて平行にスライドする、すべり支承を採用している。
●雪の中での作業
小田切所長は豪雪地帯の多い北陸支店の現場勤務が長い。所長は「降雪地域の現場で頭が痛いのは冬の間の工程の管理で、雪の少ない今年は本当に恵まれているんです。長岡市内では最近は雪が少なくなりましたが、以前携わっていた、奥只見近くの広神の現場ではかんじきを用意して大雪の時の作業に使っていました」と言う。この現場では、大雪の時には除雪をしたり、建材等にシートをかぶせたりして、作業を行うのが普通である。
●学生達のために
今年9月に竣工し、10月からいよいよこの校舎で授業が始まる。来年3月に卒業してしまう学生も新校舎で授業が受けられる。これは、少しでも多くの時間、快適な環境で学んでもらいたいとの学園理事長の意向からだ。現在の校舎は当社で耐震補強工事をした後、寮に改修する。取材当日も、学生は新校舎の完成を心待ちにしながら、現場横の道路を通っていた。
北陸学園総合校舎新築工事 <工事概要> | 完成予想図 | |
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場所 | 新潟県長岡市福住1-109 | ![]() |
発注者 | 北陸学園 | |
設計 | 当社北陸支店建築設計部 | |
用途 | 教育施設 | |
規模 | 鉄筋コンクリート造 地上8階 延べ4,736 | |
工期 | 1996年6月〜1997年9月 | |
施工 | 鹿島 北陸支店 |
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