特集:駅再生

Chapter0 鉄道の歴史を伝承する復元駅舎

21世紀の都市,汐留シオサイトに完成する「旧新橋停車場」
 日本における鉄道発祥の地,東京・汐留。この地に当社が建設を進めていた「旧新橋停車場復元駅舎」が,いよいよ来月オープンする。
 新橋〜横浜間に初めて鉄道が開通したのは1872(明治5)年。アメリカ人建築家ブリジェンスの設計により,西洋様式の石造りの外観を装った新橋停車場が建設された。
 以来,1914(大正3)年の「東京駅」の開業まで,東京の表玄関として経済・文化の重要な拠点として機能してきた。貨物専用の駅として「汐留駅」と改称されてからは,鉄道輸送の基地として東京の物流を支えたが,1923(大正12)年の関東大震災で消失してしまった――。
 復元した新橋停車場は,21世紀の東京をリードする新しい街「汐留シオサイト」の一角に,当時と同じ場所,開業当時の外観で再現される。地上2階建ての駅舎には,汐留の歴史や鉄道を紹介する展示室が設けられ,主に汐留で発掘された鉄道遺跡を展示する。その他,旧駅舎の基礎を直に見ることのできる見学窓を設けたり,当時の風景等の映像や,旧新橋停車場に関する資料を閲覧するコーナーが設置されるなど,鉄道の歴史を振り返る多様な演出が施されている。
 また,世界的にも有名な三國清三シェフがプロデュースするレストランもオープンする。復元した駅舎のイメージに相応しく,ヨーロッパスタイルのグランドカフェをイメージしたメインダイニングと,内装に日本古来の和紙を用いた回転寿司コーナーがあり,2階にはクラシックスタイルをベースに演出されたグレード感の高い個室が配置される。
 旧新橋停車場は,日本の鉄道の歴史を語り継ぐシンボルであると同時に,21世紀の新しい都市,汐留の道標としての役割も期待されている。
新橋駅周辺 竣工当時の新橋停車場(「ザ・ファー・イースト」より 横浜開港資料館所蔵)
超高層ビルがひしめく「汐留シオサイト」の一角でオープンを待つ旧新橋停車場復元駅舎
プラットホームの一部も復元されている駅舎の外に設置された遺構見学窓


|Chapter0 鉄道の歴史を伝承する復元駅舎
|Chapter1 無限の可能性を秘めた駅
|Chapter2 駅を中心としたまちづくり