特集:駅再生 |
Chapter1 無限の可能性を秘めた駅 |
駅についての考察 都心の巨大なターミナル駅,郊外の通勤駅,人里離れた地方の駅・・・。私達の生活を支える交通の拠点となる駅は,地域の特色を映して様々なかたちをとる。こうした各地の駅では,時代を超えて「出会い」や「別れ」といった多くのドラマが繰り広げられてきた。 駅を舞台に描かれる小説も多い。『鉄道員』は,北海道のローカル線の小さな終着駅で,鉄道員一筋の人生を送ってきた男の生き様を,作家・浅田次郎が描いた。映画にもなり,多くの人々に感動を与えたことは記憶にも新しい。 こうした想いが交錯する駅は,いつの時代にも旅情をかきたて,ロマンを与えてくれながら,人々の生活に溶け込んだ日常の空間となっている。その構造は多くの人々が短時間で効率的に移動できるように十分配慮されたものでもある。ホームや改札,コンコースなど,その規模や配置などは,「人の輸送」という本来の機能を最大限に発揮させるための,最適な設計がなされている。 その駅も,都市部では快適性・利便性が増していく一方,過疎化が進んだ地方などでは姿を消すこともある。時代とともに変わる駅も,また一つの駅の姿である。 |
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駅空間を最大限活用する 今日,駅への注目が高まっている。スペースを最大限に活用し,活性化する試みが行われている。構内には利便性の高く,生活に密着したショップが整備され始めている。こうした様々な店舗を揃えることで駅のイメージが向上し,またそれが人々を誘導するという相乗効果が発揮されている。駅にあるという立地は,ビジネスをする上で大きなメリットとなる。 また,IT社会・高齢者社会の到来とともに,安全で快適に利用できる施設への対応が求められている。高齢者や身体障害者が安全にサービスを受けられるための法案づくりも活発化してきた。 2000年11月に施行された交通バリアフリー法では,駅などの旅客施設を新設する際には,「バリアフリー基準(移動円滑化基準)」への適合を義務付け,既存の施設についても基準適合への努力義務を定めている。 世界的にみても鉄道を利用する機会が非常に多い日本。一人当たり年間170回近く利用しているとの計算もある。全国の駅の数はJRだけでも4,500以上(貨物駅を除く)。中でも最も乗客数の多い新宿駅では,JRの一日あたり乗客数は74万人を超えているという。駅は無限の可能性を秘めた巨大なマーケットでもあるのだ。 (※)上記データは,2000年現在のもの |
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