特集:これからの道路インフラ

Chapter 1 再開発と共同して行うジャンクション建設
全国各地で進む都市再生プロジェクト。
大規模な再開発から地域レベルの街づくりまで,様々な事業が進行中だ。
密集した都心部では土地の有効活用が求められるが,道路整備も例外ではない。
首都高速中央環状新宿線・大橋ジャンクション建設を契機に,街づくりが始まった事例を紹介する。
現場全景
大橋ジャンクションの全貌
  東京・渋谷から西へ約2km。首都高速中央環状新宿線・大橋ジャンクション建設工事は,国道246号と山手通りとの交差部付近で進められている。
 国道246号に沿って高架上を走る首都高速3号渋谷線と,建設中の首都高速中央環状新宿線および首都高速中央環状品川線とを接続するためのジャンクションで,首都圏の高速道路ネットワークの結節点の一つとなる。ネットワークが完成すると,渋滞が緩和・解消され,交通環境が大幅に改善される。
 ジャンクションは,高架である首都高速3号渋谷線から一周400mのループを下りながら地上,地下でそれぞれ1回転,計2回転し,地下にある中央環状新宿線および品川線へと導く構造。周囲への環境に配慮し,ループ側壁をコンクリートで覆い,屋上部分は緑化する計画となっている。
 この事業の特徴は,ジャンクション建設と再開発が一体となって行われている点にある。ジャンクション建設を契機とした街づくりの必要性が生じ,2003年に東京都施行の第二種市街地再開発事業を行う方針が決定された。2004年に都市計画,2005年には事業計画が決定され,東京都,目黒区,首都高速道路が一体となって行う再開発事業の枠組みがつくられた。
 ジャンクションとその周辺の区域を対象とした再開発面積は約3.8ha。広場や道路のほか,地上41階と地上27階の再開発ビルが2棟建設される。この建物には住宅,事務所,店舗,公益施設が整備される計画だ。
 当社JVは,ジャンクションの北側半分と換気所の施工を担当。現在,首都高速中央環状新宿線工事からのシールドマシンを受け入れる立坑やトンネル部の躯体工事および連結路基礎工事を行っている。
 道路整備の新しい事業手法として,注目を集める大橋ジャンクション。ここには,この地に住み続けてきた地権者,事業者らが一緒になってより良い街づくりを行いたいという熱意があるという。こうした思いに支えられ,事業は着々と進んでいる。
首都圏の高速道路ネットワーク
トンネル部の躯体工事の様子 完成予想パース。国立競技場が入るほどの広さがあるループ内部には,換気所が整備される
平面図
シールドマシン到達,発進用立坑。上段(円形部分)にシールドマシンが到達,立坑内で反転させ,下段から再び掘進する 現在,当社JVは敷地の北側半分でトンネル部の躯体工事などを進めている
工事概要
首都高速大橋ジャンクション北JV工事
場所:東京都目黒区/発注者:首都高速道路
設計:首都高速道路東京建設局/規模:トンネル・連結路基礎・躯体建築工事−カルバートボックス 6ブロック 立坑ケーソン 1基 連結路基礎 5基換気所建築工事−SRC造 B2,7F 延べ14,460m2
工期:2003年11月〜2010年1月(東京土木支店JV施工)
column 道路機能を回復するために交差点を立体化 〜国道9号千代原口交差点立体工事〜
 京都市内中心部から北西部へと続く国道9号。西京区千代原口交差点付近では,朝夕の渋滞が慢性化し,幹線道路としての機能が低下していた。このため交通環境,沿道環境の改善を目的とした交差点の立体化事業が計画された。
 当社JVはこの交差点を中心とした約370mの区間のトンネル工事を担当,そのうち中央の交差点付近150mを非開削のパイプルーフ工法により進めている。同工法では,予めパイプ(鋼管)をトンネル外周に沿って水平に設置し,パイプで囲まれた内側部分に支保工を架設しながら掘削していく。土被り3.5mのトンネル建設を非開削で実施することで,工事途中においても周辺環境の影響が最小限になるよう配慮した。
 こうした道路の機能を回復する立体交差事業は,都市機能の活性化にもつながり,全国各地で予定されている。
千代原口地区 概略図
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 Chapter 1 再開発と共同して行うジャンクション建設
 Chapter 2 道路の有効活用
 Chapter 3 道路の維持・管理