特集:第二東名・名神高速道路の建設
橋梁
木曽川橋(上部工)西工事
世界初のPC・鋼複合連続エクストラドーズド橋
●橋脚付近はPC桁,支間中央部は鋼桁の複合形式
三重県を流れる日本有数の大河川・木曽川と揖斐川。第二名神高速道路はこの両河川の河口付近を渡ることになる。この木曽川橋,揖斐川橋は2橋とも橋長1kmを越える長大橋で,各橋を東西2工区に分け,4つのJVで工事を進めている。当社JVは木曽川橋の三重県長島町側(西工事)625mを担当している。
木曽川橋は,最大支間長275mの5径間連続エクストラドーズド橋。橋脚付近はPC(プレストレストコンクリート)桁,支間中央部の105mは鋼桁という,世界初のPC・鋼複合連続エクストラドーズド橋を採用している。コンクリートよりも軽量である鋼桁を採用することにより,桁の自重が軽減されスパンの長大化を実現することができ,橋梁全体のコスト低減を図ることができる。
●経済性に優れたエクストラドーズド橋
エクストラドーズド橋とは,桁橋と斜張橋の中間の構造形式で,桁橋において桁内に配置されていたPC鋼材をより効率的に用いるために桁外に配置し,緊張力を主桁に作用させようとする橋梁形式。斜張橋よりも主塔を低くでき,張力調整なども不要のため,施工性が向上,また,経済的な構造と言える。通常エクストラドーズド橋は支間長100〜200m程度が最適とされているが,今回PCと鋼の複合形式にすることにより支間長275mを実現している。

木曽川橋断面図
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●400tのセグメントを「工場生産」
木曽川橋・揖斐川橋上部工工事では,架設地点が河川の河口部に位置し桁の海上運搬が経済的にも可能となること,高速道路で初めて60MPaという高強度コンクリートを用いるため高い施工品質が要求されること等からプレキャストセグメント工法が採用されている。片側3車線,合計6車線供用のセグメントは,高さが最大で7m,幅33m,重量は約400tに及ぶ。これは2車線道路用のセグメント(約50t)に比べ重量で約8倍,ここまで大きいものは日本で初めてである。
セグメント製作ヤードは架設現場から約15km離れた四日市市の霞埠頭にある。広さ80,000mの敷地に製作ラインが4つあり,合計360個のセグメントを製作する。製作ヤードは流れ作業によって生産を行う巨大工場の様相を呈していた。セグメントの製作工程は概ね4日サイクル。このスケールのPC桁を現場打ちするとおよそ3週間はかかるという。プレキャストセグメント工法は,今後の長大橋の施工において,急速施工と省力化,そして施工品質向上の切り札と言えるだろう。
●“21世紀への架け橋”橋の完成は来年
工事は現在,P4の張出し架設が終了し,大型ガーダーを使用したPA3からの張出し施工が行われている。
今後は,張出し架設したPC桁の間に,長さ105m,重さ2,000tの鋼桁を架設・閉合するクライマックスの工事が行われる。完成は2001年の予定である。
コンクリート桁の製作(製作ヤード) |

機械化された型枠を用い,セグメントを1個ずつ,既設セグメントの端面を型枠がわりに製作する |
台船で海上運搬 |

ヤードで製作されたセグメントは,台船で約2時間かけて架設現場まで海上運搬される |
コンクリート桁の架設 |

P4張出し架設の様子(手前の青い部分が大型ガーダー) |
鋼桁の架設 |

PC桁の張出し架設終了後,工場で製作された鋼桁(長さ105m)を台船で運搬し,一括架設する |
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