特集:都市の地下を築く

Chapter3 都市の明日をみつめて
都市の交通網を再生する
「ジオ スーパークロスハイウェー」構想

 より魅力的で国際競争力のある都市の構築を目指して推進される都市再生。大深度地下利用法の施行などを背景として,民間からも都市の地下を利用した様々なプロジェクト構想が検討されている。そこには,インフラの再整備や拡充といった従来の概念の延長だけではなく,21世紀に必要となる新たな発想で築かれる「都市の明日」の姿をみることができる。
 2000年11月に当社が提案・発表した「ジオ スーパークロスハイウェー構想」もその一つだ。この構想は,首都圏の東名高速道路と東北自動車道を結ぶ約35kmのルートと,お台場(首都高速湾岸線)と関越自動車道を結ぶ約30kmの二つのルートを,それぞれ大深度の地下トンネルで構築するものである。2本のルートは,それぞれのほぼ中央に位置する大深度地下に構築されるジャンクションで接合し,相互のアクセス向上も目指している。
ジオ スーパークロスハイウェー構想:断面  東京で慢性的に発生している渋滞の原因の一つとして,東京を最終目的地としない数多くの車両が,東京圏に流入することが指摘されている。ジオ スーパークロスハイウェー構想は,このいわゆる「通過交通」の処理に目を向けたものだ。年間数兆円にも上る渋滞による経済損失を抑制することに加え,既存交通網の活性化や,排ガスの低減による都市環境の保全・省エネルギー化といった効果も期待できる。
 現在は,この構想を母体として「(社)日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)」の研究会を通じて,他の企業とともに,具体化にむけた検討や,さらなるプロジェクトの立案を行っている。

 民間からは,この他にも分散型のエネルギーネットワークや,鉄道も含めた拠点交通ターミナルなど,多彩な機能を持つインフラを大深度地下に築く構想が示されている。
 法的な整備の進捗と,先に紹介した「都市の地下を築く」テクノロジーの進歩は,これらを単なる「夢の構想」に終わらせることはない。都市に生活する人々と官・民が一体となって,都市に新たな息吹と活力をもたらす「都市再生」への歩みが,着実に始まっている。

東京をクロスする2つの地下ルート
ジオ スーパークロスハイウェー構想概念図


|Chapter0 地下空間の担う役割
|Chapter1 より快適な暮らしのために
|Chapter2 地下を築く最新技術
|Chapter3 都市の明日をみつめて