巨大土木とアイデア建築

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■空港島の40%を当社をが施工■

 関西国際空港の空港島は,深さ18mの海を511haに亘って埋立て,人工を築造するという世界でも類を見ない大土木工事によって完成した。 当社は1987年6月から,空港島造成に必要な埋立用土砂を淡路島津名の土取り場から1,260万km,和歌山県加太の土取り場からは空港島総埋立量1億8,000万立方メートルの36%に当たる6,500万立方メートルを採取した。               採取された土砂は大型底開式土運船で海上運搬され,あらかじめサンドドレーン工法で地盤改良された護岸内部に直接投入し,空港島が造成された。 本工事は,大量な急速施工に様々なハイテクも導入された。投入土砂の形状予測を,コンピュータで解析するシステムや,投入場所への土運船の誘導に,従来までの手旗式から,電波式測位機を採用し,誘導誤差±1.5mという高精度で高能率の施工を行った。

■関西発の世界初■

 関西空港は,一刻も早い完成が持たれていたため,地盤沈下が落ち着くのを待つ余裕もなく,滑走路やターミナルビルの施工を開始しなければならなかった。 地盤沈下は重い方が大きく 沈むため, ターミナルピル部より重いウィング部は, 沈下により,建物全体を歪めてしまう恐れが出てきた。 沈下を一定にするために,ターミナルビルの地下に,36万tもの鉄鉱石が敷かれているが,ターミナルビル部のコンクリート打設だけでも,打設の最初と最後では,6カ月の時間差があり,沈下による誤差が生じてしまうのだ。 そこで, ターミナルビルにある900本の柱の根元や, エプロン部の下を油圧ジャッキでジャッキアップする方法がとられた。 柱一本には約800tもの重量がかかるため, 柱一本に最大4台の油圧ジャッキを使って建物を持ち上げ,プレートをすき問に挟み,高さを調節する。 最初に沈下した箇所を持ち上げて, 他の部分が下がったらプレートを抜いていく方式で, 地下階の階段は,あらかじめ2〜3段多く作られており,現在は地下に隠れている。 壁も二重構造の伸縮型で, 両者とも建物の浮沈に連動して, 延びたり縮んだりする。 沈下は徐々に減少しており, 現段階で空港島は, 1日に1mm沈む程度であるが,ジャッキでの調整は, これから数十年続くと言われている。 世界初の海上国際空港, 関空は今日も眠らない。

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土木工事概要
●発注者:関西国際空港 ●設計:関西国際空港 ●規模:地盤改良工(サンドドレーン)一17万本、敷砂工119万、盛砂工1,320万 直投工一443万、揚土工1,269 共同溝(L=1,310m) アクセス通路(L=990m)ほか ●工期:1989年6月〜1993年8月 (大阪支店JV施工)

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