住宅に…

 我が国の集合住宅変遷の過程をみると、大きな災害が発展の契機になっている。 関東大震災の復興事業である同潤会アパート。戦災復興時の「食寝分離」を提唱したDK採用住宅。 そして、阪神・淡路大震災をきっかけとして「制震・免震ハウジング」が注目を集めている。
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高層・超高層集合住宅(15階以上)

 『超高層の鹿島』の流れを受けた当社の高層集合住宅は、耐震性はもとより快適な居住性の追求を行ってきた。 通常、建物は階数が増すほど揺れが大きくなる。 高層住宅は、単に地震に耐えるだけでなく、風による揺れを低減し、快適な住空間を適切な費用で実現することが求められている。 鴨川グランドタワーをはじめ、SHP計画住宅棟、シーフォートタワーは高さ90m以上で、ハニカムダンパシステムを採用している。 ハニカムダンパは、振動を吸収する板状のハチの巣型鋼製ダンパで、建物の壁、柱、梁などの構造体そのものに組み込む。地震の揺れを30%程度低減し、特に震度5以上の地震に対して効果的である。 このシステムの適用により、建築計画に影響を与えず、低コストで高い安全性を有する高層、超高層集合住宅が実現した。




中高層集合住宅(〜15階程度)

 大都市に安心して住むために、また大切な資産を守るために、大地震でも建物を無被害に抑えることが可能な制震構造、免震構造の採用が、住宅にも期待されている。
 当社は震災以前より中高層集合住宅への免震構法の採用を計画しており、今年3月に初の免震ハウジングとして、志木ニュータウンガーデンプラザが着工した。 免震構法は、積層ゴムで建物全体を地盤から浮かし、建物への地震入力を低減させる。 三井不動産・大森本町マンション、深野ビルと相次いで着工、当社は免震ハウジングの普及に積極的に取り組んでいる。
 また耐震性能の向上を目的とした制震構造の採用も相次いでいる。 ハニカムダンパを組み込んだ新神戸コンドミニアム、江坂マンション、2棟間をジョイントダンパで連結したレックスガーデン西大寺は30〜50%の耐震性向上を達成、すでに着工している。
 当社は、個々の建物の特性に応じて最適の制震、免震構造を提案し、地震に強い建物の普及につとめている。




写真は鹿島月報より転載

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