研究施設や精密機械工場に…

 今日のハイテク産業の台頭によって、工場や研究施設に要求される建築性能も大きく変わってきた。 人体に感じられないような微振動ですら生産や研究の障害になる場合もある。 嫌振機器を万全に機能するための制震も必要となっている。
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当社技術研究所新大型振動台制御棟
半導体工場

 当実験棟には、兵庫県南部地震の地震動を忠実に再現し、多くのマスコミに取り上げられた大型三軸振動台があり、システムの性能確認や、各種データの収集・分析機器が整備されている。 その振動台のコントロールルームがあるのが制御棟で、精密計測機器を大地震時にも守る必要がある。 本建物は各階の梁・ブレース間に可変剛性装置が設置されたアクティブ制震「AVSシステム」実用化ビルである。 世界に例のないこのAVSシステムは、コンピュータ制御で中・小地震から大地震まで効率よく対応している。


半導体工場

 半導体の製造など超微細加工技術の進歩に伴い、微振動制御装置への要求が高まっている。 磁気浮上式除振装置MLISは、建物レベルではカバーできない機械振動、歩行振動などの微細な振動をカットする。
 今年6月に当社と荏原製作所が共同開発した新型MLISは、1ガル以下の微振動を水平・上下方向ともに20分の1以下に低減でき、積載重量も8tまで可能にした。 次世代の半導体を睨んだ高レベルの除振装置である。


医療施設に…

病室・治療室免震実験

 災害時にこそ、最大限の性能発揮を求められる病院や消防署、放送局。 これらの建物が活動を継続するためには、単に地震に耐えるだけでなく、揺れを極力建物に伝えないようにする工夫が必要となる。 今後の都市防災を考える上で、医療施設の防災拠点化は大変重要な課題である。
 こうした観点から去る6月12日、当社は医療施設を免震化した際の効果を確認する公開実験を行った。 当社技術研究所の大型振動台の上に処置・治療室と病室のモデルルームを設置。部屋が鉄筋コンクリート造6階建ての6階部分にあると想定し、大地震と同程度の揺れを再現したところ、免震した場合、揺れは通常建物の1/3〜1/5まで減ることが実証された。


写真は鹿島月報より転載

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