特集:防災イマジネーションを高めよう

鹿島社員に聞きました「あと10秒で大地震!あたなはどうする?」  
 「情報はデータではない。 役割を背負っている」という。

 情報を生かすも殺すも,受け手の情報活用次第ということなのである。

 「あと10秒で大地震が来るぞ!」

 あなたがいま,こんな緊急情報を入手したとしたら,どんな行動をとるだろう――。
 幾つかのシチュエーションを設定して,鹿島社員に聞いてみたところ,
 こんな答えが返ってきた。

 イマジネーション能力が,あなた自身の運命を決するかもしれない!
超満員の地下鉄の車内
▽地下内は揺れが比較的小さいので,ポール等につかまり揺れが収まるのを待つ(小堀研究室・男性・40代) ▽地上に比べて安全だが連絡はとれないと判断し,まず身をかがめて自らの安全確保を行い,停車後の避難のため非常口開閉方法に思いをはせる(関西支店土木現場・男性・40代) ▽「慌てない,騒がない」と自分に言い聞かせる(土木設計本部・男性・50代) ▽頭上の網棚に落下したら危険なものは置かれてないか確認し,置いてある場合には周囲にその荷物を降ろすように呼びかける(関東支店経理部・男性・20代) ▽ハンカチと携帯電話(ライトがわり)を探し,頭を擁護する(開発事業本部・女性・30代) ▽「もうすぐ地震が来ますよー!」と周りに知らせ,つり革・手摺りにつかまる(横浜支店幹部・男性・50代) ▽脱線に備えて身構える(研究・技術開発本部・男性・40代) ▽窓ガラスの飛散に備え,新聞で顔を覆うなどする(土木管理本部・男性・30代) ▽何も出来ない。祈ります・・・(総務部・男性・40代)

オフィス街を移動中
▽広いところに走る。ガラスなどが降ってくるから,バッグで頭を守る(広報室・男性・20代) ▽車が走っていなければ路上に逃げる(横浜支店建築部・女性・40代) ▽自動販売機やブロック塀など,倒れやすいものには近づかない(土木営業本部・男性・50代) ▽新しそうなビルに走るけれど,足が遅いから無理かも・・・。なので大きな街路樹にしがみつく(広報室・女性・30代) ▽鹿島施工の建物に避難する!(名古屋支店営業所・男性・30代) ▽電柱につかまる。地面に伏せる(札幌支店土木現場・男性・20代)

会社でデスクワーク中
▽身の回りのコンセントを抜き,机の下に潜り,妻に連絡をする(関西支店土木現場・男性・40代) ▽ヘルメットをかぶって,組合からもらったリュックをもって,非常階段に向かう(開発事業本部・女性・30代) ▽めがねをはずし,胸のポケットからペンなどを出して机の下にもぐる(広報室・男性・40代) ▽地震後に防災活動ができるよう「震災対策マニュアル」を探しポケットに入れる(広報室・男性・30代) ▽机の上の書類の山を押える(秘書室・男性・50代) ▽パソコンを終了・電源オフさせ,デスク下に身をかがめる(小堀研究室・男性・50代)
 
地下の社員食堂で昼食中
▽備え付けのライトを手にテーブルの下に入る(開発事業本部・男性・30代) ▽階段にて地上階に出る(関東支店管理部・女性・30代) ▽食事をやめ新鮮な空気のある場所を探す(横浜支店建築現場・男性・40代) ▽地下駐車場に避難する(総務部・男性・50代) ▽「地震がくるぞー」「厨房の人,火をとめてください」と叫び,テーブルの下にもぐる(広報室・女性・30代)
 
得意先のオフィスで打合せ中
▽「地震がきます」とささやく・・・(関係会社・女性・30代) ▽「この建物はやばいぞ」と思ったら,すぐ外にでる。崩れた建物内にいるよりガラスが降ってくるほうが“まし”(横浜支店建築現場・男性・40代) ▽お客様へ間もなく地震が発生するとの情報を伝え,最新のオフィスビルでは建物の中にいる方が安全であることを説明し,慌てて外に飛び出さない方がよいことを伝える(関東支店営業所・男性・40代)
 
建設現場で作業中
▽トンネル現場なので,地上に出るため階段を駆け上がる。深部の場合は出来るだけ坑口へ向かって移動する(関西支店土木現場・男性・40代) ▽安全な場所に移動してしゃがむ(横浜支店建築現場・男性・40代) ▽職人さんの避難を考える。自分は最後に避難(横浜支店建築現場・男性・40代) ▽トンネル内部なら一斉放送で知らせる。ガス道具の栓を締め,トンネル内にとどまる。立坑部なら走って地上へ逃げる(横浜支店土木現場・男性・50代) ▽現場事務所にいたら場内放送で「大地震だ!!現場から外に出ろ」と連絡する(九州支店営業所・男性・50代) ▽現場内で高所作業,危険作業を行っている工事を緊急中止させ,安全な場所へ避難するよう指示する(関東支店営業所・男性・40代) ▽海辺に近いところなので,高台に避難する(技術研究所・男性・40代)
 
雑居ビルの3階にある居酒屋で友人と飲食中
▽非常口の表示を探す。厨房など火災元となりそうな場所を確認する(横浜支店建築部・女性・40代) ▽とりあえずカウンターの下に隠れ,踏ん張る(横浜支店営業所・男性・30代) ▽「出るわよ!」と理由は言わず叫び,荷物をもって友人をひっぱって店を出る(環境本部・女性・30代) ▽アルコールが入っていることから慌てて下階へ移動することは転倒のリスクがある。また調理場からの出火が考えられるので,近くの窓をあける。その後,速やかに席の下に隠れる(関東支店管理部・男性・20代)

自宅で家族と団欒中
▽ガスの元栓をとめて,家族全員裏の畑へ逃げる(関西支店土木現場・男性・40代) ▽子供たちをテーブルの下にもぐらせ,ドアや窓を開けて避難経路を確保。ドアをあけたついでに皆の靴を持ってくる(横浜支店建築現場・男性・40代) ▽お風呂に水をためる(技術研究所・男性・30代) ▽トイレに入りドアを閉めずに便器に座る。構造上一番安全そうだし水もある(関係会社・男性・30代) ▽家族に周知し火気を消させる。テーブルの下に入り,トランシーバーの電源を入れ,横浜市アマチュア無線非常通信連絡会の周波数を受信する(横浜支店土木現場・男性・50代) ▽家族を誘導してガレージ(屋根つき)へ避難する(総務部・男性・40代) ▽家族全員で火気を確認し,いつも決められているテーブルの下に移動する(札幌支店管理部・男性・50代) ▽電気を消して,火を消す。庭に避難する。私は家具を支える(札幌支店土木現場・男性・20代)

週末に映画館で映画鑑賞中
▽避難口へホフク前進(営業本部・男性・30代) ▽携帯電話を光らせて注目を集め「これから地震がくる」と叫ぶ(関連会社・女性・30代) ▽大きなホールの場合,大スパンのため天井が振動しやすい状態にあり天井落下の危険もあるため,ホワイエ等に避難し待機する(小堀研究室・男性・40代) ▽混雑具合,距離などを考慮して非常口まで移動できるか否か判断。移動できるならホワイエ,ロビーなどへ移動,無理なら客席の背もたれより下まで身体をかがめる(小堀研究室・男性・50代)

午前2時,自宅で睡眠中
▽横で寝ている子供の上に覆いかぶさる(開発事業本部・男性・30代) ▽家族を起こし,倒れそうなもの(箪笥)を押える(横浜支店幹部・男性・50代) ▽枕で頭をおさえて,地震の揺れに備える(横浜支店建築設計部・男性・30代) ▽アメフトの防具を着る(営業本部・男性・20代) ▽娘を体でカバーしながら壁際にへばりつき,頭には布団をかぶる(小堀研究室・男性・40代)



Chapter 1 企業防災のイマジネーション
Chapter 2 個人の防災イマジネーション
Chapter 3 地域防災とイマジネーション
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