特集:カジマ・オーバーシーズ・アジア社 設立20周年
KOA Group's Activities
KOAはシンガポールの統括オフィスを拠点に,シンガポール,インドネシア,タイ,フィリピン,マレーシア,ベトナム,香港にグループ会社や営業所を配置し事業展開している。建築を主体とした建設事業と,開発事業をシンガポール,インドネシア,タイ,フィリピン,香港で手掛ける。各国の国情とニーズを的確に捉え,最適なサービスを提供するKOAグループの活動状況と,近年の主要プロジェクトを紹介する。
Singapore KOAが入るパークウェイパレードビル
活発な住宅投資と政府主導の大規模都市開発などを背景に,空前の建設ブームに沸くシンガポール。
ベイエリアは無数のタワークレーンが林立し,新しいまちづくりが進む。

KOAシンガポールでは現在,オフィスビルやホテル,高級コンドミニアム,商業施設などの建設を多数手掛けている。
2008年4月には,KOA設立以来のビッグプロジェクト「セントーサ・リゾートプロジェクト」がスタートし,高級ホテルやカジノ,劇場などが建設中である。

開発事業では1996年に誕生した複合開発「ミレニア・シンガポール」以来,この国に相応しい開発事業を追求してきた。
この努力が実を結び,いま3つの開発プロジェクトが進行中である。
Construction
セント・リージスホテル
 シンガポールの目抜き通り・オーチャード・ロードの西端に2007年末完成した。地上20階,客室数299の超高級ホテルである。ラグジュアリーな客室,美術館を思わせるアートの数々,絶品の料理と行き届いたサービスは“6スター”と賞され,高い評価を得ている。
 オーナーは,シンガポールのRichmond Hotel Pte Ltd。設計はアメリカのWATGが手掛け,KOAシンガポールと現地建設会社のTiong Seng ContractorsがJVで施工を担当した。度重なる設計変更に対応するため,詳細設計と施工を同時進行することで工期への影響を最小限に食い止めた。“自分の家をつくるこだわり”でオーナーが提案するインテリアデザインを具現化するため,世界各国から調度品をオーダーメイドで輸入。また壁や床材として調達した大理石の加工・取付け工事は,当社関係会社の大興物産に発注し,オーナーのニーズに応えた。
 このプロジェクトは,ホテルのほかに地上23階建ての分譲コンドミニアム2棟からなる複合開発で,コンドミニアムもKOAシンガポールJV施工で,2008年8月に完成した。
セント・リージスホテル全景 レストランダイニング
エントランス 開閉式天窓のあるパーティールーム
スイートルーム 水の回廊

在星30年の集大成
セント・リージスホテル建設工事 岩本孝幸 総合所長 「セント・リージスホテルの建設は,私のシンガポールでの工事経験の中でも,最もやり甲斐のあるプロジェクトでした」と,ホテルライフを楽しむお客様の姿を眺めながら語る岩本総合所長。客室からロビー,ダイニング,照明,調度品に至るまで,オーナーと共に試行錯誤を繰り返しながら創り上げた自慢の“作品”だ。岩本所長のものづくりへのこだわりが存分に込められている。
 シンガポールには1978年に赴任した。以来,数多くの現場を経験し,現地コントラクターとしてのノウハウを身に付けた。近年のビッグプロジェクトは殆ど岩本総合所長が関与した。豊富な経験に培われた独自の感性と創意工夫で,最適な施工法を導き出す。その技術力と丁寧な品質管理は,顧客を始め工事関係者から絶大な信頼を得た。担当工事の全てで,当地の国交省にあたるBCAの「エクセレント・アワード」を受賞しているのも,それを実証する。
 「これからもシンガポールの地図に残るようなプロジェクトを手掛けていきたい」という岩本総合所長。30年の現地経験で得た人脈とノウハウを後輩に引き継ぐ重大な役割も担う。KOAの誇る頼もしいベテラン所長である。 

マリーナベイ ファイナンシャルセンター
 ビジネス&ショッピングエリア「マリーナ地区」の中心に,アジアの大手デベロッパー3社による事業会社・BFC Development Pte Ltdが計画する国内最大規模の複合開発事業。オフィスビル3棟とレジデンス棟からなる。
 当社はTiong Seng ContractorsとJVで,タワー1(地上32階)とタワー2(地上52階)の施工を担当。現在,基礎工事が進んでいる。基本設計および設計コンサルタントは,東京・六本木ヒルズなどを設計したアメリカのKohn Pedersen Fox Associates PCが手掛けている。両タワーの完成予定は2010年3月。国内外の金融機関が入居する予定だ。
マリーナベイ ファイナンシャルセンタ−完成予想パース
クリブデン・アット・グランジ
 シンガポール中心部の高級住宅地で建設が進む4棟の超高層コンドミニアム(4棟共通地下1階,地上24階シングルタワー3棟,地上24階ツインタワー1棟,2階建てクラブハウス)。事業者はCity Developments Ltd。基本設計をADDP,KOAシンガポールが実施設計・施工を担当している。
 住戸数は1棟22戸の計110戸。1フロア1住戸(約250m2)という贅沢な間取りは,最高級ランクのコンドミニアムならではだ。徹底した品質・施工管理は,建築における過去最高の品質ポイントを獲得するとともに,政府機関による建物に関する環境表彰で最高位のプラチナ賞を受賞している。
完成予想パース
シティ・スクエア・モール
 City Developments Ltdが,シンガポール中央部の「リトルインディア地区」に計画する大型ショッピングセンター。地上9階,地下4階,延床面積10万9,878m2の施設には,スーパーマーケットやブランドショップ,飲食店などが入居する。現場では,工期短縮を目指し,逆打ち工法を採用し地下と地上の躯体工事を同時進行で行っている。
完成予想パース
セントーサ・リゾート プロジェクト
 KOA設立以来最大のビッグプロジェクトが,シンガポール南部のリゾート・アイランド・セントーサ島で進行中だ。
 シンガポール政府管理のもと,Resorts World at Sentosa Pte Ltdが総投資額約60億シンガポールドル(1S$≒80円)を投じて計画するプロジェクトで,約49haの敷地に,ユニバーサル・スタジオ・シンガポールなどのアトラクション施設とホテル6棟などを建設する。
 KOAシンガポールは,アメリカの建築家マイケル・グレイブス氏設計による全室スイートの「マキシムズ・レジデンス」(130室)と「ホテル・マイケル」(470室),ファッショナブルな装飾の「フェスティブ・ホテル」(400室)の高級ホテル3棟を建設。そのほかに,1万5,000m2のカジノや,1,600席の常設劇場「ラ・ヴィー劇場」,レストランやショップ,ストリートショーなども可能な全長500mの全天候型の「フェスティブ・ウォーク」を担当する。完成は2010年12月の予定。
セント−サ・リゾート完成予想パース
「ホテル・マイケル」(左)と「マキシムズ・レジデンス」完成予想パース カジノ・ゲームエリア完成予想パース
夢をかたちに
セントーサ・リゾート プロジェクト 杉本弘治 総合所長 当地に赴任して10年。3件目となる今の現場は,約12万m2の広大な敷地に延床32万2の規模をもつ。ホテル3棟とカジノや劇場などの躯体が建ち上がり始め,来年末の部分竣工へ向け急ピッチで作業が進む。
 「大規模・短工期の工事です。シンガポールは建設ラッシュの真っ最中で,資機材と人材の調達に苦労しています。現在,工事スタッフ100人で作業員800人を管理していますが、最盛期には約3,000人になる予定です。シンガポール・マレーシア・中国・インド・スリランカ・フィリピン・ミャンマー・日本など様々な国の人が共同作業するため,国ごとに職長をたてて統括し,KOAはじめ鹿島グループの全面的なサポートを受けて万全の体制で臨んでいます」。
 繁忙を極める現場だが,コミュニケーションを大切にし,毎月のバースデー・ランチを欠かさない。「皆にとって人生最大規模となるであろうこのダイナミックなプロジェクトに参画できる喜びを感じるとともに,健康に留意し,最後まで頑張ってもらいたい」とスタッフへの思いを語る。
 現場では約100名のスタッフが集合し、記念撮影に応じてくれた。
セントーサ・リゾートの現場スタッフ(シンガポール) セントーサ・リゾートの現場
セントーサ・エクスプレス本島とセントーサ島を結ぶ新交通システム
 2006年末に開通した本島とセントーサ島を結ぶモノレール「セントーサ・エクスプレス」。モノレールが走行する軌道桁はKOAシンガポールが施工した。モノレールからは「セントーサ・リゾート プロジェクト」の現場がよく見えるため,現場管理には細心の注意を払っているそうだ。
Depelopment
71ロビンソンロード・オフィス開発プロジェクト
現場の様子 シンガポールのビジネスの中心地シェントンウェイ地区に位置する既存オフィスビルを入札にて取得し,最新鋭のオフィスビル(地上15階建て,延べ約2万6,000m2)に再開発するプロジェクト。米系投資銀行リーマン・ブラザーズとの共同開発事業であり,KOAシンガポールが事業企画,許認可取得,資金調達,プロジェクトマネジメント,施工を担当している。
 環境に配慮したビルがコンセプトであることから,エコロジカル建築で知られるドイツ建築家インゲンホーフェン氏を起用し,当地環境省からもグリーンマークゴールド賞を受賞した。
 完成は2009年中頃を予定。先般,本プロジェクトをドイツ系不動産ファンドに売却する契約を締結した。
完成予想パース(全景)
完成予想パース(ロビー) 完成予想パース(オフィスフロア)
バルモラル住宅開発
 KOAシンガポールと地元デベロッパーのUED社の共同開発事業。オーチャード・ロ−ドに程近い高級住宅地「バルモラル地区」で,分譲マンション3棟(地上6・10・12階建て,平均200m 2/戸,計40戸)を開発する。完成予定は2010年3月。
完成予想パース
ビショップスゲート住宅開発
 大使館や保存指定されたコロニアル邸宅が多く建ち並ぶ閑静な戸建て住宅街における再開発事業。緑深い周辺の景観に溶け込む2〜5階建ての低層コンドミニアム計31戸を分譲する。
完成予想パース

 interview
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