[2013/08/05]

コンクリート表層品質向上のためのブリーディング抑制工法
「ブリデーズ工法」を開発

 鹿島(社長:中村満義)は、コンクリート表層部の「見栄え」に着目し、「美しいコンクリートは品質と耐久性の高いコンクリートである」という考え方のもと、コンクリート構造物の表層品質評価手法を開発(※)、その評価結果に基づく品質向上に向けた取組みを、全国の現場で推進しています。
 この取組みの一環として、コンクリートの過剰なブリーディング(打設後に水が分離する現象)を抑制し、表層部(かぶりコンクリート)の品質向上に寄与する「ブリデーズ工法」を開発しました。
 今後、先に開発した表層品質評価手法と併せ、コンクリート構造物の品質、信頼性をさらに向上させるべく、本工法の適用を推進していく方針です。

開発の背景

 コンクリート構造物の耐久性向上には、表層部の品質が極めて重要です。表層部が密実でなければ劣化因子が表面から浸透しやすくなるため、構造物の早期劣化につながります。しかしながら、表層部のコンクリートは打設時に鉄筋を通過してから充てんされるため、構造物の中心部に比べて打込み・締固めが難しく、材料分離が生じやすい、密実に充てんされない場合があるなど、施工要因の影響を大きく受けます。
 一方で、近年良質な骨材が手に入りにくくなり、流動性を保つために単位水量の多いコンクリートを用いるケースが増えたことなどから、特に気温の低い冬季において、コンクリートのブリーディング量(水が分離して上澄みとなる量)が過大となり、砂すじやノロ漏れ、あるいは色むらなど、コンクリート表面の品質が低下する事例が散見されています。


ブリーディング量が過大なコンクリート表面ブリーディング量が少ないコンクリート表面
ブリーディング量が過大なコンクリート表面
ブリーディング量が少ないコンクリート表面

「ブリデーズ工法」の特長

 ブリデーズ工法とは、特殊な増粘剤を添加したAE減水剤の使用や、一部骨材の石灰石微粉末への置換、また単位セメント量の増加(単位水量の低減)などを、現場の諸条件に対応し最適に組み合わせ、コンクリートの流動性を保ちつつ、材料分離を防ぐ手法です。
 この工法の確立により、通常のコンクリートに比べ、ブリーディング量を室内試験で10〜40%低減することが可能となり、コンクリート構造物をより美しくし、表層部の品質向上に寄与します。

現場での試験適用

 本工法を五ヶ山ダム堤体建設工事(福岡県)の仮設骨材ピット(底版コンクリート約150m3)に試験適用しました。底版を半分に区切り、一方にはブリデーズ工法(ブリーディング抑制型AE減水剤の使用)を用いたコンクリート、もう一方には通常のコンクリートを打設し、約2時間後のコンクリート表面(天端)を観察・比較したところ、ブリデーズ工法ではブリーディング量が顕著に低減し、測定の結果通常の約1/5にできることを確認しました。


ブリデーズ工法の効果(コンクリート天端)ブリーディング量の比較
ブリデーズ工法の効果(コンクリート天端)
                ブリーディング量の比較

 また、脱枠後のコンクリート表面も通常と比較して美しく、表層品質評価手法(※)での評価向上という成果にもつながりました。

通常工法:評価 A(良)ブリデーズ工法:評価 A+(優)
通常工法:評価 A(良)
ブリデーズ工法:評価 A(優)

                    表層品質評価手法※による評価(コンクリート脱枠後側面)

今後の展開

 今後鹿島では、先に開発した表層品質評価手法の活用と併せ、ブリーディング量の増大が懸念されるコンクリート構造物への本工法の適用を推進し、品質、信頼性の向上を図っていく予定です。


   ※コンクリート構造物の表層品質評価手法の開発と品質向上への取組み 別ウィンドウが開きます
                                (2013年4月23日プレスリリース)
 

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