水曜会:社内講演会の記録
第68回 2005年11月2日(水)
山梨 知彦日建設計
デザイン・プラットフォームとしての
3次元CAD-日建設計・山梨室の場合
3次元CAD-日建設計・山梨室の場合
洗練された3Dグラフィックを次々と映し出しながら、矢継ぎ早に言葉が追いかける。山梨氏の放つエネルギーに、会場は終始熱気を帯びていた。
氏は日建設計の室長。24名の室員を抱えるリーダーで、赤坂近辺ではホギメディカル本社ビルや住友不動産赤坂4丁目ビルなど、クォリティの高い作品がある。
3Dを設計プロセスに定着させるためにはまず上司がやらなければとの信念にもとづき、自ら率先して3D・CADを操り、データを部下に渡すという。山梨チームではモデリングデータが共通言語になっているそうだ。機上で数案作り、そのまま中国のクライアントにプレゼンテーションしたという超高層ビルのグラフィックは圧巻で、完成度とスピード感がすばらしい。自ら作るCGだからこそ、自信を持ってクライアントに細部まで説得力をもって説明できるという。フロントローディングを実践する、まさにフロントランナーである。
3D・CADを使う目的は効率よくスタディして時間を作ることで、できた時間で建築を見に行くそうだ。模型を切り貼りするアナログなスタディと3D・CADのスタディを自在に行き来するバランス感覚に共感を覚える。おそらく、山梨氏の魅力の本質は3D・CADのパワーユーザーであること以上に、表現へのあくなき情熱と高いクリエイティビティにあるのだろう。

山梨 知彦
- 1960年
- 生まれ
- 1984年
- 東京藝術大学建築科卒業
- 1986年
- 東京大学都市工学専攻
修士課程終了 - 1986年
- 日建設計