水曜会:社内講演会の記録
第72回 2006年6月1日(水)
白井 宏昌
Cities
レム・コールハース率いるOMAにおいて、CCTV(中国中央電視台)プロジェクトにコンペ段階から参画し、プロジェクトの中心的存在として活躍している白井宏昌氏(講演当時、現在は退職)の講演は、激しいグローバリゼーションを背景としたスカイスクレーパーの新たな提案や、2008年北京オリンピックを目前に未来都市を具現化しつつある北京市の状況のレポートであった。
OMAの提案はどれも時代、国家、建築が一体となった力強いコンセプトと明快な構成力を持っているが、それを推進するスタッフは多国籍が進んでおり、膨大なスタディのプロセスを短時間でこなしていくには、共通言語を作り、単純化していく必要があり、それが世界をターゲットとする彼らの戦略に直結しているようだ。そのことは、プロジェクトを表現するダイアグラムやブックレットが実に美しく、瞬時に理解できるコミュニケーションツールとなっていることにも通じている。
近年、OMAはシンクタンクであるAMOを立ち上げ、プロジェクトの背景にある経済的ファクターを分析し、建築のコンセプトをより説得力あるものにしている。
リサーチから生み出されるもの、造形的・形態的な視点、その両者の絶妙なバランス感覚で生まれる建築は、さらに世界をリードし続けるに違いない。加速度的に変貌を遂げている中国の状況と同様に、氏のスピード感ある語り口と膨大なスライドは、まさにアジアが世界に対して果たしえる役割の重要性を感じさせる刺激的なものであった。

白井 宏昌
- 1971年
- 生まれ
- 1996年
- 早稲田大学大学院
修士課程修了 - 1996年
- 鹿島建設
- 2001年
- OMAロッテルダム
- 2000年
- 北京事務所にてCCTVを含むプロジェクトに参加
- 2006年
- ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス博士課程