水曜会:社内講演会の記録
第74回 2007年3月14日(水)
宮城 俊作設計組織プレイスメディア奈良女子大学教授
Landscape Literacy とデザイン
まずは平等院鳳凰堂。極楽浄土、眺望、一日のそして季節の移ろいに伴う光の演出をも意図した古建築の軸線の読み取りから、設計に携わった平等院ミュージアム鳳翔館へのデザイン展開の話。次に都心のホテル、厳しい敷地条件下での素敵なアプローチ空間のデザイン。最後は平城京の歴史的遺構の読み取りから、その現代的土地利用構想。
ミクロからマクロ、技術と文化、論理と感性、講演は縦横無尽変幻自在、実にスリリングであった。
「敷地主義」に対し、単なる地形的読み取りではなく、歴史的視点や地球的視野から、敷地に隠された仕組みや文脈をあぶりだす、そのプロセスにおいてデザインの手掛かりを得る。ダイナミックかつ柔軟な姿勢に共感を覚えた。
単体でも完結可能な建築に比べ、ランドスケープデザインはそのまま自然や都市とつながっており、デザイン対象範囲の境界がきわめてあいまいである。また樹や草花は季節により変化もするし、成長もする。氏の視野の広さ、引出しの多さ、懐の深さは、移ろいゆくもの、フラジャイルなものへの氏の感性・目配りと、どこかでつながっているのかもしれない。
建築家とのコラボについては、具体的なカタチの問題ではなく、思考プロセスや価値観を共有・共感することができるかどうかが結果を左右するという。氏と協働している私はなんとも心もとないが、少なくとも私の方は氏の新鮮な視点にいつも感銘を受けている。打合せでのコンセプチャルな話の合間にふと「コーナーの石のディテールが…」。宮城さんはたしかにもの創りの人である。
氏の著書『ランドスケープデザインの視座』面白いです。是非ご一読を。

宮城 俊作
- 1957年
- 生まれ
- 1980年
- 千葉大学造園学科卒業
- 1982年
- 京都大学大学院
修士課程修了 - 1986年
- ハーバード大学大学院
修士課程修了 - 1990年
- 設計組織プレイスメディア設立
- 1994年
- 千葉大学助教授
- 2001年
- 奈良女子大学教授