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水曜会:社内講演会の記録

772007年10月3日(水)

芦原 信孝ノブタカアシハラ建築事務所

アメリカでの設計活動

鹿島の設計部の大先輩、芦原信孝氏による「アメリカでの設計活動」報告は、飾らず、気負わず、笑いに満ちて、「建築は素人のため」とする氏の思いの通り、私たちに、心豊かな暖かい時を与えてくれた。

65年に鹿島入社、翌年にはロスに飛び、アメリカでの鹿島の活動の基礎を築き、78年マンハッタンで独立後は、道産子ラーメン店内装からはじまり、アトリエ事務所ながらも、ついに超高層を設計受注にいたる「夢の実現」物語。それも、バリバリの国際的ビジネススタイルとは程遠い、「日本人丸出し」の浪花節流で通した結果とのこと。

久々に帰ってくると、日本の建築は、工業製品の高い精度に物を言わせ、納まり過ぎて味気ない、それに比べてアメリカの「納まっていない」ながらもおおらかな潔さ。アネハ事件は「実は、担保価値を見過ごした銀行に責任あり」など、氏の建築とその周辺に対する、柔らかで、しかも芯の通ったエピソードと語り口に、かの地のクライアントもこうして魅せられたのだと、納得させられた。

講演の次の日、建築家協会での展示会で、再び氏にお目にかかり、大きな模型を前に、自身の作品についてていねいな説明をうけた。ホテルとコンドミニアムの重層構成を見事に解決したプランには、同様の複合超高層を経験した者として、おおいに共感させられた。タイムズスクエアの最新プロジェクトでは、形態規制を逆手にとり、縦に2つのホテルを、ひねった形状に積み上げ、その若々しいウィットと情熱に、感嘆するとともに、おおいに勇気付けられた。2010年の竣工が楽しみである。

(植野 糾│KAJIMA DESIGN)

写真:芦原 信孝
芦原 信孝
1940年
生まれ
1965年
法政大学建築学科卒業
1965年
鹿島建設
1966年
カジマアソシエイツ・ロサンゼルス
1968年
ローチ&ディンケル・アソシエイツ
1969年
ハーバード大学大学院修了
1972年
カジマアソシエイツ・ロサンゼルス
1978年
ノブタカアシハラ建築事務所設立

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