水曜会:社内講演会の記録
第78回 2008年5月14日(水)
千葉 学千葉学建築計画事務所
東京大学大学院准教授
最新作について
当日の会場は超満員。氏の作品への関心の大きさが表われた。そんな今回は、御殿山プロジェクト、日本盲導犬センター、七里ガ浜の複合施設を中心に、東大千葉研での研究テーマ、富士宮の長屋門再生計画等を拝見。氏の容貌や語り口にも似た、明解でクールな建築表現、あまりにあっさりと整理された平面図の裏側で、実は毎回毎回あくなきプランとの葛藤があることをお話し頂き、あらためて建築がその場その場で浮かび上がる、ひとつひとつのあるべき形式の表現であると再認識。背筋が伸びた。
「よく考えると普通だった」と謙遜される盲導犬センターの蛇行する回廊による平面の作り出し方は、おっしゃるように、まさに「発明」。もちろん実際には、その後のデザインまで秀逸なのだが、この形式をつくりだしたところで、設計の大部分が実は終了ではと思われた。同様に七里ガ浜では、放射状に切り刻んだボリュームと海へ繋がるいくつもの小道。綿密なプログラムの反映であるだけでなく、その裏での多元連立方程式を解くかのような法規や制度との格闘の存在を聞いて納得。講演中、「いつも大変なんです」とポツリとおっしゃったのが、とても印象的であった。

千葉 学
- 1960年
- 生まれ
- 1987年
- 東京大学大学大学院
修士課程修了 - 1987年
- 日本設計
- 1993年
- ファクター エヌ アソシエイツ共同主宰
東京大学工学部建築学科キャンパス計画室助手 - 1998年
- 東京大学工学部建築学科安藤研究室助手
- 2001年
- 千葉学建築計画事務所設立
- 現在
- 東京大学大学院准教授