ここから本文です
Top > Inhouse Studies > 水曜会 > 第87回
水曜会:社内講演会の記録

872017年5月31日(水)

斎藤 公男A-forum

空間 構造 物語 新しい建築のみかた

大空間建築を数多く手がけた構造エンジニアの講演を聞けるのを、以前から心待ちにしていた。それは私だけではなかったようで、会場は超満員となっていた。

氏は初めに建築を3つに分類された。「イメージ先行型の建築」、「技術先行型の建築」、「イメージと技術が融合した建築」の3つである。例えばシドニーオペラハウスはイメージ先行型であり、ミュンヘンオリンピック競技場は技術先行型、国立代々木競技場は融合型である。これら3種類の建築に優劣はないが、これまで設計された作品から氏は融合型を目指しているのではないかと感じた。

設計時のエピソードも数多く話された。例えば当社設計施工の出雲ドームは中央をプッシュアップして建設する新工法を採用しているが、未知の工法に対して採用可否を判断する難しさや、責任者を説得して採用に至るまでの過程など、臨場感あふれる話に思わず引き込まれた。

これまで氏は建築家、設計事務所、ゼネコンと協働し数多くの作品を生み出してこられた。設計する際に心がけていることは「小さなことでもいいから何か新しいことをチャレンジすること」だそうだ。また、新しいことをやるときには関係者の向かうべきベクトル、つまり志を同じにすることが大切で、かつ全員の知恵を結集する必要性を説いておられた。
そのメッセージを熱く語る姿が強く印象に残った。

(藤井 啓樹│KAJIMA DESIGN)

写真:斎藤 公男
斎藤 公男
1938年
群馬県生まれ
1963年
日本大学大学院
理工学研究科
博士前期課程建築学専攻修了
1991年
日本大学理工学部
建築学科 教授
2007年
第50代 日本建築学会
会長
2008年
日本大学名誉教授
現在
A-forum主宰

Inhouse
Studies