特集:教育新時代の学校

安定した学校をつくる技術
社会情勢の変化や少子化により,学校経営の多角化が進んでいる。
国公立学校再編に伴う民間活力の導入,幅広い学生の確保を目的とする生涯学習施設やサテライト・キャンパスの建設,独自のポテンシャルを活かした収益事業・・・と,その方向性は様々だ。
安定した学校経営をサポートする当社の技術を紹介する。
産学連携で新たな可能性を創出秋葉原クロスフィールド全景。31階建ての秋葉原ダイビル(左)の5〜15階が産学連携ゾーンとなっている
アキバで展開するサテライト・キャンパス

 いま,東京,大阪,名古屋などの大都市に,続々と大学のサテライト・キャンパスが開設されている。こうした動きは,学校法人に対する法律の規制緩和に加え,社会人など新たな受講層拡大への対応など,学校経営者にとっての新たな経営施策として位置づけられている。
 東京・JR秋葉原駅前の「秋葉原クロスフィールド」は,当社がデベロッパーの一員として参画した再開発プロジェクトだ。この秋葉原ダイビル内に産学連携ゾーンを整備し,大学のサテライト・キャンパスをはじめ,民間企業や公的研究機関のサテライト・オフィスなど21の機関が入居した。
 ここでは,コミュニティの形成を目的に,入居した大学や企業の研究機関がメンバーとなって「アキバテクノクラブ」を結成。検討会やイベントの企画などで相互の交流を図るとともに,各々の情報発信の場として活用している。全国で産学連携の場が多く生まれている中で,継続的に機能が維持されている代表的な例といえよう。
 当社も,この産学連携ゾーンに「秋葉原サテライトラボ」を設置。現在は,アキバテクノクラブ・メンバーの東京大学・森川研究室や,産業技術総合研究所との共同研究が進んでいる。この他にも,各研究機関のコラボレーションによる多様な研究やビジネスが動きはじめている。
 開設2周年を迎えたアキバテクノクラブは,3月7・8日の2日間,「アキバテクノクラブ レビュー&プロモーション」と題し,メンバー主催によるイベントを開催した。各機関の活動を外部のより多くの研究機関に知ってもらおうとの試みだ。今後も,新しいIT拠点「アキバ」から情報発信を積極化して,産学連携の輪の拡大を図る。
2周年を記念し行われた「アキバテクノクラブ レビュー&プロモーション」の様子
安定した学校をつくる技術・・・・・・学校経営シミュレーションシステム
 当社は,多様な学校経営の可能性を示す独自ソフト「学校経営シミュレーションシステム」を整備し,学校経営者の事業計画のコンサルティングを行っている。
 このシステムは,長期にわたる事業収支を簡易に計算できるシミュレーションソフトを使って,校舎の建替えやリニューアル,学部増設などへの投資による学校経営への影響を算出。安定した経営のもとで,効果的な設備投資プランを提案できる。
 また,学校のポテンシャルを様々な角度から分析し,学校法人に相応しい収益事業や併設機能を提案することにも活用できる。例えば,校舎建替えの際に,上層階を学生向けの賃貸住宅として整備したり,駅前の立地を活かして校舎の一部をオフィスなどの賃貸スペースとして利用するなど,学校のイメージを損なわない最適な事業をコンサルティングし,安定した学校経営をサポートする。
学校経営シミュレーションシステム 「学校経営シミュレーションシステム」の私立中高一貫校建替え時の提案例
安定した学校をつくる技術・・・・・・学校PFI
 国公立校の施設の整備・運営に,PFIを導入するケースが増えている。民間の資本と経営のノウハウを最大限に活かし,“魅力ある学校”と“安定した経営”を効率よく実現させるねらいだ。当社はゼネコンの総合力とこれまでのPFI事業の実績を活かし,学校PFIにも積極的に取り組んでいる。
 昨年9月に完成した「東京大学駒場コミュニケーション・プラザ」は,国立大学法人化後のPFI事業で,“開かれた大学”の理念を実現するキャンパス整備の一環として計画された。大学生協の購買部・書籍部や多目的教室・実習室を持つ北館,3つの食堂と交流ラウンジのある南館,部活動の合宿などに利用できる和館の3棟で構成されている。ここは旧駒場寮跡地で,再び学生や教職員らのコミュニケーションの拠点に生まれ変わった。
 当社が代表企業となってグループ(鹿島,太平エンジニアリング,類設計室,東京大学消費生活協同組合)を結成。施設整備,事業計画など事業提案の取りまとめを行い,落札した。開業後約13年にわたり運営・維持管理を行う。
事業スキーム
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東京大学駒場コミュニケーション・プラザ 東京大学駒場コミュニケーション・プラザ
東京大学駒場コミュニケーション・プラザ(東京都目黒区) 
発注者:駒場コミュニケーション・プラザPFI/設計:鹿島・類設計 設計共同企業体/規模:北館・南館―RC造 B1,3F/和館―RC造 1F 総延べ 9,819m2
安全・安心・安定 トリプルAの新しい学園づくり
スクールマーケティング会議の風景 当社は,1996年に「学校・教育チーム」を立ち上げ,営業・設計・開発・ITソリューションなどの各部門と部署横断的なタスクチームを編成し,戦略的な技術開発,営業活動を展開してきた。活動の中心となる「スクールマーケティング会議」も既に90回を数え,この間に施工した学校教育施設は,700件を超える。
 チーム結成10年を迎えたのを機に,「安全・安心・安定」をキーワードとした学園づくりキャンペーンをスタートさせた。それが,リスクマネジメントを根幹に,防災テクノロジー,環境デザイン,経営サポート,ITを統合した「安全・安心・安定――トリプルAの新しい学園づくり」である。
 学ぶ人達が物理的な快適さにとどまらない精神的な豊かさを持続できる――。そんな魅力的な環境の実現を目指して,当社はこれからも,お客様とフェイス・トゥ・フェイスで,教育新時代を拓く学校のあり方を提案し続ける。
安全・安心・安定 トリプルAの新しい学園づくり

 キャンパスのグランドデザイン
 安全な学校をつくる技術
 安心な学校をつくる技術
 安定した学校をつくる技術