特集:元気です、関西。

京都 新たなバイパスが「千年の都」の魅力を高める

国道1号の京都〜大阪区間は,渋滞が慢性化し,混雑時には約2〜3時間の道のりだった。
大阪からほぼ等しい距離にある神戸と比較すると,京都は近くて遠い。今年3月,国道1号のバイパスとして第二京阪道路が全線開通。
大阪から約1時間で,歴史ある寺院や街並みを訪れることができ,京都の魅力をさらに高める。



道路ネットワーク

第二京阪道路

京都と大阪を結ぶ延長約28.3kmの道路で,6車線の自動車専用道路と2〜4車線の一般道路からなる。国道1号のバイパスとして同道の交通渋滞を緩和すると同時に,名神高速道路,京滋バイパス,近畿自動車道と一体となり,広域幹線網を形成する。「緑立つ道」の愛称で呼ばれ,環境や景観に配慮した道路。自動車専用道路の両脇に植栽帯や自転車歩行者道などからなる幅員約20mの環境施設帯を設置するとともに,高性能舗装や遮音壁による防音対策など沿道環境にも配慮している。当社は同道路建設の3工区を担当している。

国守工事は,大阪府北東部の寝屋川市域において,国内でも例のない幅約60mにわたる大断面の4連アーチカルバートを構築し,専用部6車線,一般部2車線,計8車線分の開削トンネルを構築する。長さ15mと10mの4連アーチカルバートと4連ボックスカルバートを16ブロック分つなぎ,延長220mとなる。工場のように合理的な流れ作業で製作され,工期短縮と品質確保を図った。工事は2010年3月,6年の歳月をかけて終了した。

私部西地区PC上部工事は,交野市の府道枚方富田林泉佐野線から,一般国道168号付近までの橋梁(PC橋)上部工を構築する。移動作業車(ワーゲン)を用い,天野川上に架橋した。最盛期には,4台のワーゲンが稼動。自動車専用道路の上り線と下り線を同時に構築し,工程を早めた。

讃良地区下部その他工事では,寝屋川市域の西南部において,橋脚などの橋梁下部工を建設した。工事延長は約1.2km。周辺には,交通量の多い生活道路,住宅,学校,精密機械工場などが多くあるため,地域への配慮を第一に工事を進めた。住民の方々に喜んでもらえる道づくりを目指し,地元自治体などへの現場見学会を数多く開催。2009年3月に工事を終えた。

第二京阪(大阪北道路)讃良地区下部その他工事/第二京阪道路国守工事/第二京阪(大阪北道路)私部西地区PC上部工事地図
第二京阪道路国守工事 【工事概要】
第二京阪道路国守工事

場所:大阪府寝屋川市太泰高塚町〜高宮あさひ丘
発注者:西日本高速道路
設計:西日本高速道路
規模:4連アーチカルバート延長140m,4連ボックスカルバート 80m ほか
工期:2004年3月〜2010年3月(関西支店JV施工)
第二京阪(大阪北道路)私部西地区PC上部工事 【工事概要】
第二京阪(大阪北道路)私部西地区PC上部工事

場所:大阪府交野市私部西地先
発注者:国土交通省近畿地方整備局
設計:当社土木設計本部
規模:専用部―PC6径間連続箱桁橋(橋長329.5m)/一般部―PC単純ポストテンションT桁橋(上り線橋長41.0m/下り線橋長42.0m)
工期:2008年5月〜2010年2月(関西支店施工)
第二京阪(大阪北道路)讃良地区下部その他工事 【工事概要】
第二京阪(大阪北道路)讃良地区下部その他工事

場所:大阪府寝屋川市新家地先〜萱島東地先
発注者:国土交通省近畿地方整備局
設計:パシフィックコンサルタンツ,中央コンサルタンツ,
片平エンジニアリング
規模:工事延長1,220m ラーメン式RC橋脚11基,ラーメン式鋼製橋脚6基,張出式橋脚4基,橋台18基ほか
工期:2006年2月〜2009年3月(関西支店JV施工)

PickUP 千年の都で新たな消費を創出する
 

JR京都駅北口に,(仮称)京都ヨドバシビルが誕生する。京都タワーに隣接する旧近鉄百貨店の跡地は,鉄骨建方やスラブコンクリートの打設が始まり活気をおびている。逆打ち工法を採用し作業の効率化を図っている。糟谷正則所長は「皆の知恵と技術でSafety&Speedyに建物を造ろう!」をスローガンに現場を率いる。

近鉄百貨店閉店から約2年半。京都で新たな消費を創出するムーブメントが始まった。

(仮称)京都ヨドバシビル新築工事地図
完成予想パース
【工事概要】
(仮称)京都ヨドバシビル新築工事
場所:京都市下京区/発注者:ヨドバシカメラ,ヨドバシ建物/基本設計:佐藤総合計画/実施設計:当社建築設計本部/規模:S造 B2,8F,PH1F 延べ 72,990m2/工期:2009年7月〜(関西支店施工)

京都の元気!
左から,三村享さん(25歳),松永光示さん(27歳),小河亮 介さん(31歳),疋田哲也さん(30歳),北原秀樹さん(28歳) 

京都の西側の玄関口,国道9号の千代原口交差点(京都市西京区)では,現在,地下立体交差化が進められている。激しい交通渋滞を緩和するための事業で,交差点直下に非開削トンネルとアプローチ部を構築する。パイプルーフ工法では世界最長の150mとなる。

この工事の主役は,20・30代の5人の若手工事係。24時間体制の厳しい条件下の現場運営全般を任されている。「次々と起こる課題に立ち向かうことが僕らの元気の素です」とリーダーの小河さんからは頼もしい言葉が返ってきた。自らの力で無事に工事を終えるという強い意志,そして行動力と徹底的な議論で経験不足をカバーする。わずか1mの高さのパイプルーフと頂版鉄筋の隙間に入り,作業服をドロドロにしながらコンクリート打設管理を行った。施工方法などに課題があれば,徹底的に話し合う。真剣な議論の中でも,何か1つでも笑いを交えることが良いアイデアがでるポイントだという。

「この工事の経験を活かし,これからも最長・最大・最新といった一番にこだわっていきたい」と若手5人衆は元気に声をそろえた。

9号京都西立体千代原口トンネル本体工事地図