特集:水といきる−水のある豊かな暮らし−
Chapter6 水をきれいにして戻す〜水質の浄化 part2
「横浜市北部汚泥処理センター」に日本で初めて完成した本格的なPC卵形消化槽 水をきれいにする主役は下水道である。当社では,都市部の下水道整備を数多く手がけているが,普及率の低い地方都市部では,中小規模の下水処理場や集落排水処理施設をフルターンキーで建設しており,その数は200箇所にもおよぶ。また「ディープシャフト法(超深層ばっ気法)」,「リングレース接触ばっ気法」「嫌気好気ろ床法」などの下排水処理技術を開発・導入し,これら下水処理場に適用してきた。
 下水処理場で水を浄化すると,いわゆる下水汚泥が大量に発生する。下水汚泥は全産業廃棄物発生量の約20%を占めており,減量化やリサイクルが重要な課題となっている。下水汚泥はバイオマスであり,減量化とエネルギー化を同時に達成できるメタン発酵(消化)が注目されている。従来の汚泥消化槽は円筒形が主流であったが,当社では水密性,気密性,保温性,消化効率に優れた卵形消化槽を技術導入し,「横浜市北部汚泥処理センター」(横浜市鶴見区)で日本初のPC卵形消化槽を1983年に完成させた。以来,現在まで100基以上のPC卵形消化槽が建設されているが,当社は大型を中心に40%以上を施工している。
「くちのつ水処理センター」管理棟 管理棟の屋上には太陽光パネルが設置されており,同センターの電気の一部をまかなっている
当社がフルターンキーで建設を担当した小規模下水処理施設「くちのつ水処理センター」(長崎県南島原市 2004年竣工)
下水道のエンジニアリングを支える当社の代表的な技術
ディープシャフトプロセス 深さ40〜150mの深井戸型のばっ気槽を利用して,下水や工場排水を強力に浄化する排水処理法 ハイブリッド式消化システム PC卵形消化槽に,生ごみなどのバイオマス資源を新たに加えることにより,発電のエネルギーとなる消化ガス発生量を増加させるシステム
リングレース接触ばっ気法 ひも状接触材(リングレース)に微生物を固定化して水を浄化するシステム

 Chapter 1 飲み水、農業用水を貯える
 Chapter 2 上水をつくる
 Chapter 3 水の力で電気をつくる
 Chapter 4 ビルの中で活躍する水
 Chapter 5 水辺で動植物と共生する
 Chapter 6 水をきれいにして戻す