特集:ユーザー志向のe-KAJIMA

e-Communication
顧客ニーズとのインターフェイス

建物を利用したり,管理している顧客が求めるサービスの内容や質は,一見似かよっていても, 実際にはそれぞれ微妙に異なっている。その微妙な違いこそ,当事者にとっては大切なことが多い。しかしサービスを提供する側が,それぞれについて対応を取ることは難しく,結果として顧客が真の満足を得られないケースもあった。当社は,建物の利用者を含めた顧客の個々のニーズを適切に把握し,きめ細かな対応を行うためにさまざまな場面でITを活用している。そのいくつかは,顧客や利用者自身がプログラムと対話を繰り返して,それぞれの真のニーズを絞り込んでいき,最適解を得られるようになっている。プログラムには,これまでに蓄積されてきた当社の豊かな経験が活かされている。また,新たな経験を読み込みながら,プログラムそのものも日々進化し,より高度なサービスを提供できるようになっている。

顧客ニーズと当社ニITサービス

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顧客対話型のサービス

 十人十色の顧客のニーズに対して,最適できめ細かなサービスを正確かつ迅速に提供するために,当社ではさまざまなシステムを用意している。そこでは,ITならではの特質が活かされている。
 たとえば,顧客の建物への意識が,ライフサイクルコスト(LCC)全体に向けられるようになり,建物仕様や保全内容とLCCを相互に関連づけながら顧客の希望に応じたサービスが求められている。そこで当社では,「ソリューション型LCCプログラム」を開発し,長期的なマネジメントの計画づくりをサポートしている。プログラムは,入力情報の多寡に関わらずフレキシブルに対応でき,事業計画段階の大まかな条件でも設計段階の詳細な条件でも計算可能である。プログラム操作も容易で,社員の活用は所属部門で制限されることなく,顧客との最前線である営業から,設計,運営管理まで含めた鹿島グループ全体で利用することができる。
 一方,建物の現況を診断するにあたっては,グレードに応じたツールを幅広く用意し,すでに運用を開始している。詳細な診断よりも低予算・短期間で建物性能の概略を把握したい,というニーズに応えるかたちで診断のグレードを3段階に分けた。もっとも簡単な診断ツールは当社のホームページ上での運用も予定している。もちろん,診断結果に対するフォローは,顧客の予算に合わせた幅広いバリエーションが用意されている。そこでは,ITによって各部署の専門技術を容易に結集した成果が,いかんなく発揮されることとなる。

いつでも誰でも利用できる情報
 ITを活用することで情報が継続的に蓄積されていくが,これを建物運用のエネルギー管理に活かしたのが「BEMS(ベムス:Building Energy Management System)」である。建物の使用状況や設備システムの運転状態を把握し,投入するエネルギーの最小化を図る。従来は,高度なシステムには専門的な知識が必要だったが,当社が開発したBEMSでは,設計者のみならず実際の建物管理者など誰にでも分かりやすく,建物運用の省エネルギー管理が行える。
 また,オフィスの運営では,レイアウト,什器家具,OA機器といったさまざまな管理業務が発生し,運営に必要な情報のすべてを把握しつづけるのは困難である。こうした個々の管理業務のソリューションを提供するのが,施設運営管理支援システム「CAFM(キャフム:Computer Aided Facility Management)」だ。運営管理に必要な情報を,いつでも誰でも活用できるように,コンピュータで一元的に整理・利用するものである。オフィスのリニューアルや備品購入から駐車場,設備の管理まで,顧客をトータルにサポートする。

エンドユーザーとの対話
 ITを活かした顧客へのサービスは,建物の利用者へも目に見えるかたちで発信されている。それは,建物の付加価値をアップさせるサービスとなり,住まい,学校教育,医療など多分野で提供されている。
 マンション事業では,間取りやカラーセレクトなどを6,480通りものバリエーションから,購入者自身の価値観にあわせて選択できる「フィットプランセレクトシステム(FIT)」が大きな注目を集めている。また,マンション固有のイントラネットを標準装備し,入居者のコミュニティ形成を支援する「iマンション」も業界に先駆けて実現した。
 学校教育では,インターネットをベースとして講義資料を一元的に管理するシステム「Caddie(キャディー)」(当社と米国マサチューセッツ工科大学の共同研究をベースに開発)が大阪学院大学に導入された。カリキュラムで利用するコンテンツの体系的蓄積だけでなく,グループウェアや遠隔教育を支援できる機能もある。
 医療分野では,入院患者を支援する情報システム「ベッドでネット」が東京大学附属病院に導入され,患者と病院内外とのコミュニケーションをサポートしている。医師や看護婦向けのサービスが中心だったなかで,患者向けのシステムは国内初である。

ニーズの蓄積と経験の共有
 顧客サービスにおけるITの利用は,そこでの記録がデータというかたちで簡単に整理・蓄積でき,当社にとっては「経験の共有」ともなる。顧客とのコミュニケーションツールはさまざまだが,会話や電話・FAXに加えてITを活用し,いつでも誰でも正確な情報を「共有」できる。
 当社では,ITを活用したナレッジマネジメントを重視し,これまで培ってきた豊富な経験に新しい経験を加え続けることで起こる,スパイラルアップを目指している。それは,品質と信頼性のさらなる向上に,直接リンクしているのだ。




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