特集:アフリカの大地に刻む日本の技術 アルジェリア東西高速道路建設工事を訪ねて
CHAPTER 3
interview
執行役員海外支店アルジェリア東西高速道路建設工事共同企業体総合事務所長 石田 稔
プロジェクトの受注が発表されたのは,2006年9月。
そこから「40ヵ月の砂時計」に立ち向かう日々が始まった。
当社の長い歴史の中でも最大クラスのプロジェクトを総括指揮する石田稔執行役員総合事務所長に聞いた。
――大統領直轄のプロジェクトで,周囲の期待も大きいですね
 アルジェリアでは,治安の悪化により立ち遅れたインフラ整備に力を入れています。同国内の経済発展はもとより,将来的には「環地中海高速道路網構想」の一部として,北アフリカのみならずヨーロッパ諸国の物流と経済の発展に寄与することが期待されています。
 アルジェリア国民は日本の技術と品質を信頼しており,高速道路が一日でも早く完成することを待ち望んでいます。技術大国日本の名にかけて,国と国民の期待に応えたいですね。

――現状では,様々な要因から,当初の見込みより施工に時間を要しています

 アルジェリア国内は,物流,通信などに加え,法規や行政機構といったインフラが脆弱な状況です。そんな中で,キャンプの立ち上げ,資機材の輸入・調達など,体制づくりに予想以上の労力と時間がかかっている状況です。
 現在も火薬が入手困難な状況で,原石山からの路盤材の調達や,トンネルの施工などに影響が現れています。今後も企業者と良好な関係を維持し,多くの課題を乗り越えていかなければなりません。COJAALが一体となって,明るく元気に,プロジェクトの完了を目指します。

――多くの工事関係者がキャンプ生活を送っており,健康管理などが気になります
 良いものをつくって工事を成功させることも当然重要ですが,社員の安全と健康を最優先に考えています。閉鎖された環境での日常生活ですから,食事面とメンタルケアには最大の注意を払っています。本社健康管理センターの永田幹男所長にもお越しいただき,社員との面談を実施するなど,会社としても最大限のサポートをしています。社員自身も創意工夫して,ストレスを発散しています。

――国内との違いはどういったところでしょうか
 圧倒的な規模やスケールですね。社員の守備範囲,責任範囲も大きくなりますが,その分やりがいもあると思います。
 言語や文化,人種の相違を克服しながらの仕事には,難しさもあります。昔から「あわてず,あせらず,あてにせず,あなどらず,(されど)あきらめず」の「5つの『あ』」が重要だと言われていますが,アルジェリアで仕事をする際の心構えが上手く表現されていると思っています。

――社員や家族に向けたメッセージをお願いします
 会社としては今後も社員を全面的にバックアップしていきますが,海外での仕事には,家族の支援・理解なくしては成り立ちません。今後も社員の安全と健康を最優先でプロジェクトを進めます。
 この難関プロジェクトを力を合わせて成功させることで,携わった皆さんが,充実感や喜びを体験できるよう,私も頑張ります。

 CHAPTER 1 プロジェクトの概要
 CHAPTER 2 キャンプでの日常生活

 CHAPTER 3 interview
 CHAPTER 4 各キャンプの施工の様子