特集:羽田Report――D滑走路建設工事
特集:羽田Report――D滑走路建設工事

東京国際空港(羽田空港)は,4本目の滑走路(D滑走路)を羽田空港沖に建設中である。
2,500mの滑走路は,世界でも珍しい埋立と桟橋を組み合わせたハイブリッド工法を採用。
当社がJV代表会社となりゼネコン,マリコン,ファブリケータ15社が9工区に分かれ41ヵ月という短工期で施工する。
2010年秋の供用開始予定にむけ,厳しい制限下,24時間施工で着々と進むD滑走路建設工事をリポートする。
Interview
常務執行役員 東京土木支店羽田再拡張D滑走路建設工事共同企業体現場代理人峯尾隆二今年1月で工事開始から22ヵ月が経過しました。
――発注者側の漁業補償交渉の影響で,予定より着工が遅れましたが,現在は各工区とも順調に工事を進めています。
 本工事は,空港等土木工事・港湾土木工事・港湾等鋼構造物工事・港湾等しゅんせつ工事および空港等舗装工事をゼネコン6社,マリコン6社およびファブリケータ3社の計15社で構成する異工種JVで分担施工しています。設計・施工一括請負方式で発注され,竣工後も30年間の維持補修管理業務を当JVが実施していくことになっているのが大きな特徴です。
 当社は,代表会社としてJV全体の運営にあたっており,スタート直後からの急激な資材価格高騰の嵐にも巻き込まれましたが,今では15社からの全職員が一体となって最善の方法を講じつつ困難を乗り越えています。
 
1984年から12年間,羽田沖合展開事業を担当されていましたね。
――航空需要の増加にともなって,空港施設拡充が行われてきましたが,当社の先輩方がそれまでの羽田で築いてきた実績が評価され,沖合展開事業のスタート時から工事に携わることができました。今また,羽田では最後となると思われますD滑走路工事を担当できますことは技術者冥利につきる思いがしています。
 現在,現場は365日,24時間休みなく稼動していますがJV所員一同実に良くやってくれています。本工事を無事に竣工させ,みなさんの大きな期待に応えることで,その努力が報われるものと考えています。

この工事を通して当社の若手技術者に何を求めていきますか。
――私は,以前海外勤務をしていた折に,欧米の技術者が広い範囲の専門知識を持ち,一つのプロジェクトを“ひとり”でこなしていくことに驚いた経験があります。そのことを踏まえて少しでも海外に通用する人づくりのお手伝いができればと考えています。この工事を通じて一人ひとりが単一領域にとどまらない広い範囲の技術や知識を深めてもらえれば嬉しいですね。
 
これから工事が最盛期を迎えますね。

――埋立用資材はまだ2,500万立米程投入する必要がありますので,東京湾内を航行する山砂等の資材運搬船が増えてきます。それだけに船舶航行の安全確保に万全を期す必要があると考えています。JV内に設置してある24時間体制で東京湾内の作業船の運行管理を行う「東京航行安全情報センター」の機能を十二分に発揮させ,引き続き細心の注意を払っていきます。
 設計・施工一括方式のメリットは,各社の持つ最新技術を導入でき,施工途中においても様々な工夫や,最適化への比較検討が請負者側で常時行える機会があるということで,工期短縮,コスト縮減への不断の挑戦ができることにあります。竣工の暁には,その成果を世に問うことができることを楽しみにしています。
 2010年8月の無事竣工を目指して参りますので是非皆様のご支援をお願いいたします。
東京国際空港D滑走路建設外工事
事業者:国土交通省関東地方整備局/場所:東京都大田区羽田空港地先/設計・施工:鹿島・あおみ・大林・五洋・清水・新日鉄エンジ・JFEエンジ・大成・東亜・東洋・西松・前田・三菱重工・みらい・若築異工種建設工事共同企業体/規模:滑走路(2,500m×60m)及び連絡誘導路(本体幅30m×2本)に関する基本施設,航空保安施設,付帯施設,基盤施設,東京港第一航路移設,管理用係留施設新設/履行期間:2005年3月〜2010年8月
(東京土木支店JV施工)
【 施工体制 】
護岸・埋立工事(I):五洋・大成・前田/護岸・埋立工事(II):東洋・清水・みらい/護岸・埋立工事(III):若築・あおみ・大林/護岸・埋立工事(IV):東亜・鹿島・西松/接続部護岸・桟橋工事:鹿島・JFEエンジ・東亜・前田/桟橋工事(I):清水・新日鉄エンジ・東洋・みらい/桟橋工事(II):大成・あおみ・新日鉄エンジ・若築/連絡誘導路部工事:大林・五洋・西松・三菱重工/ジャケット製作工事:新日鉄エンジ・大林・鹿島・JFEエンジ・大成・西松・前田・三菱重工

 D滑走路建設工事――100年耐用の滑走路づくり(1)
 D滑走路建設工事――100年耐用の滑走路づくり(2)

 D滑走路建設工事――100年耐用の滑走路づくり(3)
 国際線地区関連工事――2010年秋の供用開始を目指して