特集:集客の仕掛けを創り込む ――新しい時代の商業施設![]() |
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地方の中心市街地にある。地域になかった業種・業態の店舗を揃えるなど,地元との共存・共栄を図り,周辺居住者,通勤・通学者の生活の利便性を高める。 |
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クロステラス盛岡 JR盛岡駅と盛岡城跡を結ぶ繁華街・大通商店街のゲート部分に「クロステラス盛岡」がある。 施主が意図したのは「地元商店街との共存共栄型」施設。 そこには,長い間盛岡市に根付いた事業を展開してきた施主の深い思い入れがある。地元産の木材をふんだんに使った建物,周辺店舗と一体化したガラスのファサードなどに工夫を凝らした。 |
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【建物概要】 場所:岩手県盛岡市 発注者:三田農林株式会社 基本設計:当社建築設計本部 実施設計:当社東北支店建築設計部 規模:S造 5F 延べ 15,857m2 2009年9月竣工(東北支店施工) |
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「地域を大切に」の理念を反映 施主の三田農林は三田商店のグループ企業で,1894年の創業以来,盛岡市を中心に林業,牧畜,学校の設立などの事業を展開。「長期的視点での人づくり街づくり」の創業者理念のもと,「地域を大切に」を社是としてきた企業である。 こうした理念をうけて,地域の人が日々の生活で気軽に利用できる新しい商業施設の実現に向け,当社東北支店・開発事業本部開発計画部・建築設計本部が連携し,企画段階からコンサルティングしてきた。施設規模は30店舗とコンパクトだが,食料品店は岩手県産にこだわった地産地消型,ベーカリーは盛岡初出店など,隣接する商店街にはない魅力ある業種・業態を揃えた。また,施設内にはイベントによって賑わいを生み出すプラザを配置。中心市街地の魅力を高め,人の流れを活性化することで,周辺他店舗との共存共栄を図った。 |
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大通との一体化 「施主の『地元に貢献したい』との思いをどう建築計画に反映させるかに腐心しました」と,設計を担当した建築設計本部の浜田 優グループリーダーはいう。 その一つが,木立を想起させる壁とガラスの連続を基調とした透明なファサード。緩やかな曲面と相まって,エントランスの賑わいを演出。同時に,通りを歩く人から買い物をしている姿が見え,大通との一体化を図った。気軽に建物の中を通り抜けることもできる。 オープン前日,最終チェックをしていたクロステラス盛岡新築工事の佐藤 豊所長(当時)と三田農林の藤田 剛主任が,エントランスホールのウエストプラザに設置した木のベンチで,数人の女性がくつろいでいるのを見た。「気軽に立ち寄れるというコンセプトが実現できましたね」。2人はそう確信したという。 |
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木の温もりを感じる館内 ![]() 「木を使って欲しい」。建築設計本部の高田輪太郎チーフは,そう施主から依頼された。階段や手すり,ベンチから,案内板やプラザの内装など施設の至るところに,木の温もりを醸し出した。「施主の商品でもあり,シンボルでもある木材を使い,施主と共に創り込んだことが印象深い」と高田チーフはいう。 ウエストプラザのサインボードには県産の杉が使われた。施主からの支給で,高さ9m,幅30cm,樹齢約100年の角材。施された背割りが本物の証だ。代々守り続けてきた地場の木材が,本物の迫力とスケール感を創り出している。 「既存の施設とは一味違う,三田さんならでは,とお客さまからお褒めの言葉を頂いています」と藤田主任。「木材をふんだんに使用したこの施設は,当社のショールームでもあるのです」。オープンから2ヵ月で,盛岡市の人口に匹敵する30万人の来場者を迎えたという。 |
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短工期を乗り切る |
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クロステラス盛岡新築工事 佐藤 豊 所長(当時) ![]() |
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商業施設のオープンは春か秋が多い。「10月1日のオープンまで,工期は7ヵ月しかありませんでした」(佐藤所長)。8ヵ月分の工事量があったが,休日を全て返上することで凌いだという。 「そうした中で助かったのは周辺などからのクレームがなかったこと」と佐藤所長。長く地元に根付いた事業展開をしてきた三田農林の「信用」がものをいった。「あの三田さんがどのような施設をつくるのだろうと,住民の皆さんが待ち望んでくださっていたのが有難かった」。 |
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