特集:発進・秋葉原クロスフィールド

Chapter-2 新産業のクロスフィールド
秋葉原クロスフィールド全景 左が秋葉原ダイビル,右が秋葉原UDX
3つの機能と施設の配置
人・情報・産業の交点
 2棟の超高層ビルは,透明感あふれる全面ガラス張りで,街全体に開放感を与えるとともに,ITタウン秋葉原の先進性をイメージしたデザインである。耐震・防火,環境配慮,セキュリティ対策など,最先端の建築技術が駆使されている。
 こうしたビルの内部に展開するのは,前述のように「産官学連携機能」「情報ネットワーク機能」「集客等機能」の3つの機能,そしてオフィス機能とサービス機能である。左のイラストは機能ごとに色分けし,スケルトンを示したものだ。
 駅前広場からペデストリアンデッキでつながる動線を軸として,さまざまな人々が行き交う施設が組み込まれる。「領域(フィールド)の交流(クロス)による創出・再生のプラットホームづくり」というコンセプトが空間構成に反映され,形づくられている。
 今回の計画がスタートした際のテーマは「ITセンター」であった。ここでは「産官学連携機能」「情報ネットワーク機能」についてみてみよう。
創造のプラットホームをめざす産官学連携
 2004年4月,東京大学大学院情報理工学研究科の一部が秋葉原クロスフィールドへの進出を発表した。本郷キャンパスの5つの専攻が研究者育成を主眼とするのに対して,「創造情報学専攻」を新たに開設し,IT産業の担い手となる技術者や経営能力の養成に力を入れるという。
 東大以外にも複数の大学が出先機関を進出する予定だ。国立大学法人化などによる大学再編時代を迎えるなかで,産業とのつながりを重視する各大学の姿勢が,こうした動きとなって表れている。
 秋葉原クロスフィールドは,産官学の交流による新しいアイディアの創出をめざすプラットホームとして,多様な機能が組み込まれる。

大学連携パーク大学連携パーク
新産業の創出に資する先端的教育・研究を目的に,複数の大学がさまざまなかたちで集積。産官学連携による共同研究だけでなく,東京に集中する最先端情報をいち早く送受信できる。

産官学連携パーク産官学連携パーク
より実社会に近い高度応用研究を手掛ける民間企業や公的研究機関の研究所が集積。IT産業が集まる秋葉原の街を舞台とした実証実験も想定される。

人材育成・活用人材育成・活用
上記のような研究機関や教育事業者は,IT産業の人材育成の実績が豊富だ。多数の先端IT教育が展開されるとともに,人的資源リスクの低減にもつながる。

ベンチャー孵化・育成ベンチャー孵化・育成
発展段階に応じた育成支援策を展開する事業者が集積。ベンチャーの事業を推進するうえで人材・企業のネットワーク化を図る。

情報交流・プレゼンテーションセンター情報交流・プレゼンテーションセンター
先端技術者の交流・発表の場を提供。情報,学術,人的交流を促進する。
ITメガロポリスへの情報ネットワーク
 秋葉原クロスフィールドには,ITを活用し,価値を高めようとするさまざまな人々が集まり,訪れることになる。その活動を支えるために,高速大容量情報インフラを利用して情報を集め,融合・増幅し,伝達する機能を備える。
 ITメガロポリス秋葉原の中枢となり,世界の産官学ネットワークへとつながるITインフラが計画されている。

秋葉原IT拠点情報センター秋葉原IT拠点情報センター
最新の研究成果や新製品情報,クリエーターの連携による秋葉原発の技術情報を送受信。大型映像,インターネット,モバイルなど,さまざまなかたちで映像・デジタルコンテンツが駆使される。電気街などの近隣街区との連携も検討される。

データセンターデータセンター
ビル内にデータセンター機能を構築。ブロードバンド時代に対応する最先端のITインフラが整備される。

学びと創造の場学びと創造の場
最新のITやものづくりを体感するために,展示スペースやワークショップ,ネットカフェを設置。
人材育成・活用 大学連携パーク
オフィスフロア
産官学連携パーク


Chapter-0 AKIHABARAブランドのクロスフィールド
Chapter-1 新空間のクロスフィールド
Chapter-2 新産業のクロスフィールド
Chapter-3 新文化のクロスフィールド