特集:建設業をよく知ってもらうために 鹿島の魅力発信者たち
Chapter 4 業界団体によるイメージアップへの取組み
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Chapter 4 業界団体によるイメージアップへの取組み
Chapter 4 業界団体によるイメージアップへの取組み
Chapter 4 業界団体によるイメージアップへの取組み
築(きずく)
100万人の市民現場見学会
コンストラクションワンダーランド
 業界団体も建設業の魅力や役割を,若者たちに直接伝える取組みに力を入れている。
 土木4団体を合併して新発足した日本土木工業協会(土工協)は,課題の一つに「開かれた新しい土工協活動の展開」を掲げ,建設業が正しく理解されるための活動を積極的に進めている。旧土工協時代2002年11月から開催している「100万人の市民現場見学会」や機関誌「CE建設業界」,学生向けのフリーペーパー「Pilastro」,各種イベントなどを通じて,一層の理解浸透を図るという。
 全国の土木建設現場を広く公開する「100万人の市民現場見学会」は,現在まで,延べ約4万現場で,約170万人の見学者を動員した。当社でも,羽田地区工事のほか,大規模ダムやトンネルの現場で5千回以上開催している。大学教授などからも「地道だが,土木を志す学生が増えるのでは」と評価を得ている。
 2009年3月には,魅力ある建設企業群の実現に向けて「建設企業としての社会活動のあり方」と題した報告書をまとめた。社会全体・地域社会,環境,教育,国際をキーワードに,継続的な活動の方向性を示している。
 建築業協会(BCS)も現場見学会の開催や広報誌「築(きずく)」の発行のほか,「良好な建築資産の創出を図り文化の進展と地球環境保全に寄与すること」を目的とした建築業協会賞(BCS賞)の選考などで,イメージアップに努めてきた。
 2009年は,設立50周年記念事業の一環として,建築業が環境保護や社会貢献に積極的に取り組んでいることをアピールするため,「仮囲デザインコンペ」を実施した。工事現場は地域社会や一般の人との接点との考えから企画されたイベント。「人と地球にやさしい社会の実現に向けて」をテーマに募集され,入賞作品は会員各社の建築現場の仮囲いに掲示されている。
 日本建設業団体連合会(日建連)も,社会貢献活動の一環として,植樹祭など各種イベントの参加,ボランティア活動などに積極的に取り組んでいる。また,環境展示会「エコプロダクツ2008」にブースを出展し,会員各社の環境技術を展示するなどの情報発信も行なっている。
 一方,こうした団体ごとの取組みに加え,3団体の連携による取組みも活発化している。2008年3月,3団体の運営による建設WEBサイト「BUILD UP!」(http://www.buildupper.com)を開設。若者の目線に合わせ,遊び心を交えながら建設業に関する情報を発信している。2009年3月には,新コンテンツとして「Kensetsu FILMS」を追加。完成した構造物にスポットを当て,担当技術者の声などを動画で配信している。
 2004年からは,東京・北の丸公園の科学技術館で,子供向けのイベント「コンストラクションワンダーランド」を毎年開催している。空気の力やコンクリートの不思議を実験で確かめるワークショップのほか,クレーン車などの建設作業車の運転に挑戦するコーナーなど,1日当たり約4,000人のこどもたちが来場し,好評を博している。
仮囲デザインコンペ最優秀賞「Building Contractors Society on the earth(地球の建築業協会)」 仮囲デザインコンペ最優秀賞「Building Contractors Society on the earth(地球の建築業協会)」
第三者の声 フォトグラファー 社会科見学に行こう!代表 小島健一
 5年ほど前,共同溝工事現場の一般公開に参加したことがきっかけで,身の回りで興味を持ったことを見学にいく団体「社会科見学に行こう!」をインターネット上に立ち上げた。現在までに開催した見学会は約100回。工事現場も数多くある。その活動が縁となって,日経コンストラクションや土木学会誌などで記事を書かせていただいた。ここでは,見学者の立場から見た建設業について書こうと思う。
 最初に白状してしまうと,私は前述の一般公開に参加するまで建設業について全く知らなかった。せいぜいニュースでセンセーショナルに報じられるネガティブな話のみで,実際の建設業がどうなっているのか? そこにはどういう人たちがいるのか? など考えたこともなかった。これは多分,私が特別なのではなくて,今まで見学会に参加した人たちの反応を見ても,元々建設業に興味を持つ人は少なかったと思う。
 見学会に参加した人たちのきっかけも,多くが「変わった物が見られる」という好奇心によるものだった。しかし,そうした人たちも実際に見学会に参加し,現場の圧倒的なエネルギーに触れることで,「人が造りあげていく力」に興味を持ち,同時に「自分の生活が人に支えられている」ことに気づくようになった。
 インフラは,私たちが生活する上でなくてはならないものだが,普段は生活の中に溶け込んでしまっているため,あえて意識することは少ない。そのため,きっかけがなければ関心を抱くことも少ない。きっかけのひとつとして現場見学会をより積極的に開催することで,建設業に関心を持つ人は増えると思う。「百聞は一見にしかず」という言葉がある。現場の壮大なスケールと,見た目に反した制御の精密さ,そして何よりもそこで熱心に働く人たちの姿を見てもらうことこそが,人の心を打つのだ。
 かつてNHKの「プロジェクトX」でも実感したが,巨大な構造物を造り上げるまでには様々なストーリーがあり,それ自体立派なコンテンツ(情報発信の手段)といえるだろう。建設業はそのコンテンツをもっと有効に活用することで,世間からの関心を高めることができるのではないか。現在はインターネットの時代である。見学者にストーリーを語ることで,それがインターネットを介して広まることもあるだろう。今後は,建設業自らが積極的に情報発信するとともに,現場見学会を通した広報の機会も活用するなどで,社会に貢献する建設業の姿を見せて欲しいと思う。
小島氏にはこの機会に、当社の現場を見学してもらった
column 鹿島の主な情報ツール
鹿島CSR報告書鹿島CSR報告書
 企業の情報公開のツールとして,当社の社会活動や環境保全活動,品質管理の取組みなどについて,ステークホルダーの皆様に分かりやすく報告することを目的に作成している。2009年は7月下旬発行の予定。
 

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 当社の総合的な情報発信ツールとして毎月上旬に発刊している。発行部数は約3万5,000部。役員・社員,関係会社,OB,得意先,官公庁,マスコミなどに配布している。今年秋に発刊50年を迎える。

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 Chapter 1 情報発信の最先端で
 Chapter 2 鹿島環境学校の教授たち
 Chapter 3 次世代へ魅力を引き継ぐ
 Chapter 4 業界団体によるイメージアップへの取組み