特集:鹿島の医薬品施設エンジニアリング
Chapter 4 これからの医薬品研究施設
新薬開発をめぐる国際的な競争が一段と加速するいま,医薬品メーカー各社はより革新的な医薬品の開発に向けて,最先端の医薬品研究施設の整備を活発に推進している。
当社は,こうした医薬品メーカーの良きパートナーとして,“これからの医薬品研究施設”を追求するため,エンジニアリング力の強化と新たな技術開発に取り組んでいる。
研究所空間モデル
 これからの時代に求められる研究施設のかたちとは何か――。常にこうした問いかけの中で,当社は医薬品研究施設に対するエンジニアリングのノウハウを導き出している。
 治療法が確立していない様々な疾病に対し,より効果的な新薬をより早く開発したメーカーが大きな市場を握る。こうした新薬開発競争がグローバルに展開される中,医薬品研究施設は研究者がより独創的な発想を生み出せる空間であることはもちろんのこと,研究のスピードアップ,研究効率の向上につながる,より機能性の高い施設であることが求められる。
 研究者の動線,研究者の使う実験機器の動線,部署間の関係性を綿密に分析した上で効率的な実験室・居室・共用エリアの配置計画を行うこと。実験・研究内容を十分理解した上で使い勝手の良い実験室のレイアウトを行うこと。研究者間のクロスコミュニケーションを促進し新しい発想を誘発する仕掛けを随所に盛り込むこと。
 当社は,建築・設備・研究設備・環境・ITを専門とするエンジニアが一丸となって,医薬品施設エンジニアリングの各種技術と新たな開発技術をベースに,「機能的な研究空間」「創造性を高める研究空間」「環境調和の研究施設」という3つの要素を融合し,理想の医薬品研究施設を創り上げている。
ラボ構築のコンセプト
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column 動物アレルゲンから研究者を守る技術
総合的対策によるアレルゲン暴露リスクのコントロール 新薬の研究開発の過程では,マウスなどを使った動物実験が行われる。こうした動物と接触する機会の多い飼育者や研究者の約20%が動物アレルゲンに感作し,仕事の継続に支障をきたす人もいることが報告されてきた。
 当社はこうした研究施設の就労環境の改善を目的に,動物アレルゲンに関する技術開発を進めている。医薬品メーカーや大学研究室の協力を得て,実際に研究が行われている研究室や飼育室で動物アレルゲン濃度の測定を実施してデータを収集。測定数値を分析・体系化することで,動物アレルゲンの暴露原因とその測定手法を確立した。
 この技術は,医薬品研究施設を建設・リニューアルする上での設備設計やレイアウト設計に大きな貢献をするとともに,既存施設のモニタリングによる従業員の安全対策をサポートするサービスも提供することができる。

 Chapter 1  鹿島が目指す医薬品施設エンジニアリング
 Chapter 2  次世代型医薬品製造施設の誕生  
 Chapter 3  鹿島の医薬品施設建設
 Chapter 4  これからの医薬品研究施設